飲食店の深夜酒類提供飲食店営業届出【2026年版】|必要な店・10日前提出・図面・禁止地域

深夜営業予定のバー店内で平面図と照明設備を確認するイメージ
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午前0時から午前6時までの深夜に酒類を提供する飲食店は、営業の常態として通常主食を提供する店を除き、原則として「深夜における酒類提供飲食店営業」の届出が必要です。バー、酒場、酒類とおつまみを中心に提供する居酒屋などが代表例です。

届出先は営業所を管轄する都道府県公安委員会で、窓口提出では通常、営業所所在地を管轄する警察署を経由します。届出書は、深夜営業を開始する日の10日前までに提出しなければなりません。東京都を含め、e-Gov電子申請の対象として案内されている地域もありますが、図面や禁止地域の確認が必要なため、提出方法にかかわらず所轄警察署への事前相談が重要です。

根拠は風営適正化法第33条と同法施行規則第103条です。なお、食品衛生法上の飲食店営業許可と本届出は別制度です。飲食店営業許可を取得しただけで、届出対象となる深夜の酒類提供まで自動的に認められるわけではありません(e-Gov法令検索「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」、e-Gov法令検索「同法施行規則」)。

実務上、最も重要なのは、物件契約や内装工事の前に、禁止地域、客室面積、間仕切り、照度、音響設備、接客方法を所轄警察署へ相談することです。契約後に営業禁止地域や構造基準への不適合が判明すると、深夜営業を断念したり、追加工事が必要になったりするおそれがあります。

目次

深夜酒類提供飲食店営業届出が必要かを判定する

届出の要否は、「バー」「居酒屋」「レストラン」といった店名や業態名だけでは決まりません。営業時間、酒類の提供、主食の提供実態、接待や遊興の有無を順に確認します。

確認項目 判断の目安
午前0時から午前6時まで営業するか この時間帯に営業しなければ、本届出は不要
深夜帯に酒類を提供して営むか 提供する場合は、主食店の除外要件を確認
営業の常態として通常主食を提供するか 要件を満たせば、酒類提供飲食店営業から除外される可能性がある
接待を行うか 深夜酒類提供の届出ではなく、接待飲食営業の許可が必要となる可能性がある
深夜に客を遊興させるか 特定遊興飲食店営業の許可が必要となる可能性がある

風営適正化法上の「深夜」は午前0時から午前6時までです。また、酒類とはアルコール分1度以上の飲料をいい、提供量の多寡は問いません。ビールを1杯だけ提供する場合でも、それだけで対象外になるわけではありません(警察庁「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準」)。

届出が必要になりやすい店

  • 午前0時以降も営業するバーや酒場
  • 酒類とおつまみを中心に提供する深夜営業の居酒屋
  • ワイン、日本酒、ウイスキー、クラフトビールなどを主力とする店
  • 主食メニューはあるものの、常時提供しておらず、営業実態が飲酒中心の店

主食メニューを置くだけでは対象外にならない

警察庁の解釈運用基準では、「通常主食と認められる食事」の例として、米飯類、パン類(菓子パン類を除く)、めん類、ピザパイ、お好み焼きなどが示されています。

ただし、対象外となるには、次の両方を満たす営業実態が必要です。

  • 営業時間中、客に常に主食を提供していること
  • 客が飲食している時間の大部分で主食を提供していること

例えば、平日だけ主食を提供する店、昼間だけ食事を出す店、大半の時間は酒を飲ませて最後に茶漬けを出す店は、除外要件に当たらないとされています。したがって、「フードメニューにパスタやピザを1品加えれば届出不要」という判断はできません。

ラーメン店や食堂などで除外要件を利用する場合は、メニューだけでなく、深夜も常時調理・提供できる厨房体制や営業方法を説明できるようにし、事前に所轄警察署へ確認してください。

届出だけでは営業できないケース

深夜酒類提供飲食店営業は「許可」ではなく「届出」ですが、接待や深夜の遊興まで認める制度ではありません。営業内容によっては、風俗営業または特定遊興飲食店営業の許可が必要です。

営業内容 必要となる手続の目安
午前0時以降に酒類を提供し、接待や遊興を行わない 深夜酒類提供飲食店営業の届出
特定の客やグループの近くで継続的に談笑、お酌、歌唱、ゲーム等の相手をする 接待飲食営業の許可を検討
客席の照度を10ルクス以下として営業する 低照度飲食店営業に該当する可能性
他から見通すことが困難で、広さが5平方メートル以下の客席を設ける 区画席飲食店営業に該当する可能性
深夜に酒類を提供し、店側が積極的にショー、演奏、ダンス等で客を遊興させる 特定遊興飲食店営業の許可を検討

接待とは、歓楽的な雰囲気をつくる方法で客をもてなす行為です。特定少数の客の近くで継続して談笑したり、お酌や水割り作りを続けたり、客と一緒に歌ったりゲームをしたりする行為は、接待に当たる可能性があります。

一方、注文に応じて酒類を提供し、速やかにその場を離れる行為、社交儀礼上の挨拶、短い世間話、料理の配膳や食器の片付けは、通常の飲食接客の範囲とされています。判断基準は店の呼称ではなく、実際のサービス内容です。

また、届出だけで深夜営業する一般の飲食店は、深夜に客を「遊興させる」ことができません。DJ、ライブ、ダンス、ショー、カラオケ企画などを予定する場合は、設備があるかどうかだけでなく、店側が客にどのように働きかけるかを具体的に説明し、所轄警察署へ確認してください(警視庁「風俗営業等業種一覧」)。

物件契約前に禁止地域を確認する

都道府県は条例により、深夜における酒類提供飲食店営業を禁止する地域を定めることができます。具体的な禁止地域は都道府県ごとに異なるため、インターネット上の用途地域図だけで最終判断してはいけません。

少なくとも、次の項目を分けて確認する必要があります。

  • 風営適正化法と都道府県条例による深夜酒類提供の禁止地域
  • 都市計画法上の用途地域
  • 建築基準法上の建物用途や用途変更の要否
  • 賃貸借契約上の使用目的、営業時間、酒類提供、音響設備の制限
  • 管理規約やビル管理者による営業時間・騒音ルール

候補物件が見つかった段階で、次の資料や情報をそろえて所轄警察署へ相談すると判断が進みやすくなります。

  • 物件の正確な住所、建物名、階数
  • 建物全体と店舗部分の平面図
  • 予定営業時間
  • 主なメニューと酒類・食事の提供方法
  • カラオケ、DJ、ライブ、ゲーム等の有無
  • 接客方法とスタッフの業務内容
  • 客室の数、各客室の面積、間仕切りの仕様

賃貸借契約書に「飲食店可」と記載されていても、深夜営業、酒類提供、カラオケや音響設備の使用まで認められているとは限りません。契約上の確認事項は、テナント契約で失敗しない!飲食店開業時の賃貸契約チェックリストも参照してください。

深夜営業する飲食店の構造・設備基準

深夜に飲食店営業を行う店舗は、風営適正化法施行規則第99条から第101条までの技術上の基準に適合するよう、構造と設備を維持しなければなりません。この基準は、届出対象となる酒類中心の店だけでなく、深夜に営業する飲食店に関係します。

  • 客室が複数ある場合、原則として1室ごとの床面積を9.5平方メートル以上とする
  • 客室が1室だけの場合は、9.5平方メートル以上という面積要件の例外となる
  • 客室内部に見通しを妨げる設備を設けない
  • 善良の風俗や清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾等を設けない
  • 客室の出入口に施錠設備を設けない。ただし、営業所外へ直接通じる出入口を除く
  • 所定の測定位置における営業所内の照度が20ルクス以下とならない構造・設備にする
  • 都道府県条例で定める騒音・振動の数値を下回るように維持できる構造・設備を設ける

照度基準は、端的にいえば測定場所で20ルクスを超える明るさを維持する必要があります。食卓がある場合は、その上面と同じ高さにおける客の通常利用部分など、施行規則第100条で定められた位置で測定します。

また、背の高いついたて、カーテン、固定式パーテーション、大型のソファや背もたれなどは、配置や高さにより「見通しを妨げる設備」と判断される可能性があります。内装完成後の指摘を避けるため、平面図だけでなく必要に応じて立面図も用意し、図面段階で相談してください。

届出に必要な書類

法令上の基本的な提出書類は次のとおりです。添付書類は、風営適正化法第33条、同法施行規則第103条、添付書類に関する内閣府令第24条に定められています。

書類 確認ポイント
深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書(別記様式第47号) 営業者、営業所名、所在地、構造・設備の概要等を記載
営業の方法(別記様式第48号) 営業時間、飲食物・酒類の提供方法、20歳未満への酒類提供防止策等を記載
営業所の平面図 営業所・客室の範囲、寸法、面積、設備配置が分かるように作成
住民票の写し 個人の場合。本籍記載、外国人は国籍等記載、個人番号なしのものを用意
定款・登記事項証明書 法人の場合に提出
役員の住民票の写し 法人の場合。役員全員分を求める警察案内が一般的

警視庁も同じ構成の必要書類を案内しています(警視庁「性風俗関連特殊営業、深夜における酒類提供飲食店営業の届出」)。

賃貸借契約書、使用承諾書、周辺略図、飲食店営業許可関係書類、用途地域資料、メニュー表などは、国の法令が定める基本添付書類には含まれていません。ただし、地域や案件に応じて確認資料として案内される場合があります。法定添付書類と確認資料を区別し、提出部数や原本・写しの扱いを所轄警察署へ確認してください。

すでに同一の公安委員会の管轄区域内で届出済みの深夜酒類提供飲食店営業を現に営み、新たに別店舗を届け出る場合は、住民票や法人関係書類を省略できる規定があります。適用条件は提出先に確認しましょう。

平面図に記載したい情報

  • 縮尺と店舗内の縦横寸法
  • 営業所全体の床面積
  • 客室ごとの範囲、名称、床面積と算定根拠
  • 厨房、トイレ、倉庫、事務室、更衣室等の位置
  • カウンター、テーブル、椅子、ソファ、固定棚の位置
  • 出入口、窓、扉、壁、間仕切り、カーテン等の位置と仕様
  • 照明器具の種類、数、位置
  • スピーカー、カラオケ機器等の音響設備
  • 防音扉、壁、天井等の防音設備

警視庁は、第47号・第48号の様式と記載例を公開しています(警視庁「深夜における酒類提供飲食店営業(様式一覧)」)。内装業者の意匠図だけでは、客室面積の算定や設備仕様が不足することがあるため、届出に使用する図面であることを設計担当者へ早めに伝えてください。

開業日から逆算した届出手順

法定期限は深夜営業開始日の10日前ですが、禁止地域の確認、書類補正、図面修正を考えると、期限ぎりぎりの準備は危険です。

  1. 開業6~8週間前:物件住所、営業時間、営業内容を所轄警察署へ相談する
  2. 開業4~6週間前:禁止地域と構造・設備基準を確認し、内装図面を固める
  3. 開業3~4週間前:住民票、法人書類、営業方法、平面図をそろえる
  4. 開業2~3週間前:提出先に図面と書類を事前確認してもらい、不備を修正する
  5. 遅くとも深夜営業開始日の10日前:窓口または利用可能な電子申請で届出を行う
  6. 開始日まで:届出内容どおりに設備と営業方法を整え、予定日前に対象となる深夜営業を始めない

警視庁では、深夜酒類提供飲食店営業の開始・変更・廃止についてe-Gov電子申請の対象手続として案内しています。ただし、地域による運用や添付方法を確認するため、電子申請を利用する場合も所轄警察署への事前相談が安全です(警視庁「生活安全警察・e-Gov電子申請対象手続」)。

飲食店営業許可、消防関係の届出、食品衛生責任者、防火管理者などは別の制度です。開業手続全体は、飲食店開業に必要な届出と書類一覧【地域別まとめ・完全版】と、飲食店開業に必要な資格はコレ!「食品衛生責任者」から「防火管理者」まで取得の流れを完全網羅で整理できます。

営業開始後に守るべきルール

届出が受理された後も、届出内容と構造・設備基準を守って営業する必要があります。届出は、接待や遊興を含む営業を包括的に認める許可ではありません。

  • 所定の測定場所で照度が20ルクス以下にならないようにする
  • 都道府県条例で定める騒音・振動基準を守る
  • 接待に該当するサービスを行わない
  • 深夜に客を遊興させない
  • 20歳未満の客に酒類を提供しない
  • 午後10時から午前6時まで、18歳未満の者を客に接する業務に従事させない
  • 午後10時から午前6時まで、保護者同伴の場合を除き、18歳未満の者を客として立ち入らせない
  • 営業所ごとに従業者名簿を備え、必要事項を記載する
  • 客に接する業務へ従事させる者の生年月日、国籍等を所定の書類で確認し、確認記録を作成・保存する
  • 構造・設備を変更する前に、変更届の要否を確認する

18歳未満の立入りについては、都道府県の青少年保護育成条例等により、さらに厳しい規制が設けられている場合があります。店舗所在地の条例も確認してください。

従業者名簿には、氏名、住所、性別、生年月日、本籍または国籍、採用年月日、退職年月日、従事する業務の内容などを記載します。警察庁の最新の解釈運用基準では、深夜酒類提供飲食店営業について名簿へ記載する対象は、深夜に勤務する者だけではなく、当該営業に係る全従業者とされています。労働基準法上の労働者名簿が必要事項を満たす場合は、それを利用できる場合があります。

また、深夜営業では、店内の音量だけでなく、退店後の話し声、路上滞留、タクシー待ち、扉の開閉音、空調室外機なども近隣トラブルの原因になります。具体策は、開業前にやっておくべきご近所対策と騒音問題の回避法を参照してください。

変更届・廃止届が必要になるケース

営業開始後、次のような変更を行う場合は、変更届が必要になる可能性があります。

  • 営業者の氏名・名称や住所、法人代表者を変更する
  • 店舗名を変更する
  • 客室の位置、数、床面積を変更する
  • 壁、ふすま、カーテン、ついたて等の間仕切りを変更する
  • 照明設備を変更する
  • 音響設備や防音設備を変更する
  • 大規模な修繕や模様替えを行う

変更届は原則として変更の日から10日以内、法人の名称・住所・代表者氏名の変更は20日以内です。営業の廃止も原則10日以内に届け出ます。ただし、工事内容によっては単なる変更ではなく、営業所の同一性や営業方法に関する判断が必要になるため、工事や営業内容の変更前に所轄警察署へ相談してください。

営業者そのものが交代する場合は、前営業者の届出を名義変更だけで引き継ぐことはできません。新しい営業者が自らの名義と営業計画に基づき、営業開始前の手続を行う必要があります。

よくある質問

午前0時以降も営業しますが、酒類のラストオーダーを0時前にすれば届出は不要ですか?

ラストオーダー時刻だけで届出不要とは判断できません。0時以降も客のテーブルに酒類を残し、飲酒を継続させる運用であれば、「深夜に酒類を提供して営む営業」と評価される可能性があります。深夜帯は酒類を提供せず、飲酒も終了させる営業へ明確に切り替える場合は、具体的な運用を所轄警察署へ説明して確認してください。

なお、本届出の対象外となっても、深夜に飲食店営業を行う限り、照度、構造、騒音、年少者等に関する規制は残ります。

ラーメン店で午前2時までビールを出す場合も必要ですか?

営業時間中いつでもラーメン等の主食を提供でき、客が飲食する時間の大部分で主食を提供する営業実態であれば、酒類提供飲食店営業から除外される可能性があります。

一方、深夜帯だけ酒場のような営業へ切り替える、主食を注文できる時間が限られる、大半の客が酒類とつまみだけを利用するといった営業では判断が変わり得ます。業種名だけで自己判断せず、営業時間、メニュー、提供体制を所轄警察署へ説明してください。

前のテナントが届出済みなら、そのまま引き継げますか?

引き継げません。営業者が変わる場合、前営業者の届出を新しい営業者の届出として利用することはできません。居抜き物件でも、新しい営業者が自らの名義、営業方法、構造・設備に基づいて手続を行います。

また、前店舗の間仕切り、照明、音響設備が現在の営業計画や技術上の基準に適合するとは限りません。契約前に図面と現況を確認してください。

店名や設備、営業時間を変更する場合はどうしますか?

店名、営業者情報、客室、間仕切り、照明、音響、防音設備などの変更は、変更届の対象となる場合があります。営業時間や酒類の提供方法を変える場合も、営業の方法に影響するため、変更前に所轄警察署へ確認してください。

届出が必要な変更は、原則として変更後10日以内、法人の名称・住所・代表者氏名の変更は20日以内です。ただし、期限内に届け出れば事前相談なしで自由に工事できるという意味ではありません。

深夜酒類提供飲食店営業に欠格事由はありますか?

深夜酒類提供飲食店営業は許可ではなく届出であり、風俗営業許可と同じ欠格事由審査を受ける制度ではありません。ただし、禁止地域や構造基準に違反する営業、接待を伴う無許可営業、無許可の特定遊興飲食店営業などが認められるわけではありません。法令違反があれば、指示や営業停止命令、罰則の対象となり得ます。

まとめ

深夜酒類提供飲食店営業届出で失敗を避けるポイントは、次の6つです。

  1. 午前0時以降に酒類を提供して営むかを確認する
  2. 通常主食の除外要件は、メニューではなく営業実態で判断する
  3. 接待や深夜の遊興がある場合は、別の許可を検討する
  4. 物件契約前に禁止地域と構造・設備基準を確認する
  5. 平面図と必要書類を整え、深夜営業開始日の10日前までに届け出る
  6. 営業開始後も照度、騒音、年齢確認、従業者名簿、変更届を管理する

特に危険なのは、「飲食店営業許可があれば深夜も酒を出せる」「主食を1品置けば届出不要」「前の店の届出を引き継げる」と自己判断することです。営業内容が境界線上にある場合は、住所、平面図、メニュー、営業時間、接客方法を用意し、所轄警察署へ相談したうえで物件契約と内装工事を進めてください。

参考資料

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