はじめに
LINEやInstagramが主流の今、「DMやメール配信はもう古い」と思っていませんか? 確かに、不特定多数に送る宣伝メールは「迷惑メール」として処理されてしまいます。しかし、飲食店にとってのメール・DMは、一度来店されたお客様、特に常連客や会員様との「特別な関係」を維持・深化させるための、クローズドなコミュニケーションツールとして非常に強力です。
問題は、そのメールが「開封」すらされていないことかもしれません。 お客様は毎日数十通のメールを受信しています。その中で、あなたのお店のメールを開いてもらうには、「件名」で全てが決まると言っても過言ではありません。
この記事では、お客様の受信トレイで埋もれず、開封され、再来店のアクションに繋がる「件名」の作り方と、5つの具体的なシーン別「文章例集」を徹底解説します。
1. 開封率が激変!心を掴む「件名」の4原則
本文をどれだけ工夫しても、開封されなければ存在しないのと同じです。まずは「迷惑メール」と判断されないための件名テクニックです。
- 原則1:【パーソナライズ】「〇〇様へ」と名前を入れる 「お客様各位」という件名は、その他大勢へのスパムメールだと思われます。顧客台帳と連携し、可能な限り「〇〇様」と名前を入れましょう。「自分宛て」だと認識させるだけで、開封率は大きく変わります。
- 原則2:【ベネフィット】お客様が得する「中身」を明確に 「当店からのお知らせ」では、開く動機になりません。「〇〇様専用のシークレットクーポン在中」「【裏メニュー解禁】」など、開くことで得られるメリット(ベネフィット)を具体的に示します。
- 原則3:【緊急性・限定性】今すぐ開く「理由」を作る 「【本日23:59まで】」「【ご招待】〇〇様限定の試食会」「【残り3席】」など、「今見ないと損をする」という緊急性や限定感を演出します。
- 原則4:【好奇心】「?」で問いかける 「〇〇様、最近お気に入りの日本酒は見つかりましたか?」「あの”幻の”メニュー、覚えていらっしゃいますか?」と問いかけ、中身が気になるように仕向けます。
▼ やってはいけないNGな件名
メールマガジン Vol. 5(→退屈で開く理由がない)〇〇店からのお知らせ(→自分に関係ないと思う)【お得!】今月のキャンペーン!(→よくあるスパムメールに見える)
2. シーン別:そのまま使える!DM・メール例文集
件名で興味を引きつけたら、次はいかに「心」を動かし「行動」に繋げるかです。
シーン1:ご無沙汰客(お久しぶりのお客様)への再来店促進
常連客の離脱を防ぎ、お店を思い出してもらうためのメールです。
- 件名:
【〇〇様へ】お久しぶりです。〇〇(店名)の店長・佐藤です。 - 本文例:〇〇様ご無沙汰しております。〇〇(店名)の店長の佐藤です。 〇〇様が最後にご来店されてから3ヶ月ほど経ちますが、お変わりなくお過ごしでしょうか。(※可能なら) 以前、〇〇様が「美味しい」と仰ってくださった「〇〇(料理名)」が、今週から旬を迎えています。もしよろしければ、また〇〇様の元気なお顔を拝見したく、ささやかですが「お久しぶり様専用のワンドリンククーポン」をご用意いたしました。[クーポンコード:xxxx]スタッフ一同、〇〇様の「ただいま」を心よりお待ちしております。
シーン2:季節限定メニューの告知
季節メニューの開始を伝え、来店動機を最大化します。
- 件名:
【速報】今週土曜から「北海道産・生ウニ」のパスタ、始まります。 - 本文例:〇〇様お待たせいたしました! 毎年ご好評いただいている、シェフが厳選した「北海道産・生ウニの冷製パスタ」が、いよいよ今週土曜日から【2週間限定】で始まります。[料理の写真]とろけるような甘みと磯の香りが特徴で、キリッと冷やした白ワインとの相性は抜群です。 こちらは鮮度の都合上、1日10食限定とさせていただきます。「今年は食べ逃した!」とならないよう、ぜひお早めにご予約ください。▼今すぐ席を予約する [予約URL]
シーン3:誕生日・記念日の特別オファー
最もパーソナライズが効果を発揮するメールです。誕生日DMは、単なる割引ではなく「祝福」の気持ちを伝えます。
- 件名:
【〇〇様へ】お誕生日おめでとうございます!当店からささやかなお祝いです。 - 本文例:〇〇様お誕生日、誠におめでとうございます!〇〇様にとって素敵な一年になりますよう、スタッフ一同、心よりお祝い申し上げます。つきましては、日頃の感謝を込めまして、当店からささやかなお祝いの品(特製デザートプレート+乾杯スパークリングワイン)をプレゼントさせてください。[今月いっぱい有効のクーポン画面]ぜひ、大切な方との素敵なひとときを当店でお過ごしいただければ幸いです。
シーン4:特別イベント(周年・試食会)へのご招待
お得意様向けイベントは、「選ばれた人だけ」という限定感が鍵です。
- 件名:
【〇〇様限定のご招待】〇周年記念・シークレットディナーのお知らせ - 本文例:〇〇様いつも〇〇(店名)をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。おかげさまで、当店は来る〇月〇日で5周年を迎えることとなりました。 これもひとえに、〇〇様のような大切なお客様に支えていただいたおかげです。つきましては、日頃の感謝を込め、〇〇様を含む【常連様30名限定】のシークレットディナーを開催いたします。当日は、通常メニューにはない特別なコースと、秘蔵のワインをご用意して、ささやかなおもてなしをさせていただきます。[日時・会費・予約方法]席が埋まり次第、受付終了となります。 〇〇様にお会いできるのを楽しみにしております。
シーン5:来店後の「サンキューメール」
お客様アンケートや口コミ依頼、次回来店の動機付けに繋げます。
- 件名:
昨晩はご来店ありがとうございました!〇〇(店名)より御礼 - 本文例:〇〇様昨晩は〇〇(店名)にご来店いただき、誠にありがとうございました。 お食事はお楽しみいただけましたでしょうか?もしよろしければ、〇〇様の率直なご感想を、今後のサービス向上のためにこちらのアンケート(1分)でお聞かせいただけると幸いです。なお、アンケートにお答えいただいた方には、次回来店時にご利用いただける「〇〇(一品)サービス券」をお送りします。〇〇様のまたのご来店を、心よりお待ちしております。
3. やってはいけないDM・メールの3つのNG
- NG1:配信が多すぎる 週に2回も3回も送られてくると、中身が良くても「迷惑」と判断され、配信停止されてしまいます。多くても週に1回、基本は月に2〜4回程度が適切です。
- NG2:文章が長すぎる お客様はスマートフォンで読んでいます。改行のない長い文章は読まれません。「結論ファースト」で、伝えたいことは簡潔に。
- NG3:出口(CTA)がない 「で、何をすればいいの?」とお客様を迷わせてはいけません。「ご予約はこちら」「メニューを見る」「クーポンを使う」など、メールを読んだ後に取ってほしい行動(Call To Action)へのリンクを必ず分かりやすく設置しましょう。
まとめ
DMやメールは、アナログな接客や手書きメッセージの「デジタル版」です。単なる宣伝ツールではなく、お客様一人ひとりの顔を思い浮かべながら、「〇〇さん、これ好きそうだな」という気持ちで送ることが、心を動かす最大の秘訣です。
まずは「件名」を工夫し、あなたのお店の「想い」が詰まったメールを開いてもらうことから始めてみませんか。


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