導入|なぜ今「会員制度」なのか?
コロナ禍以降、飲食店の売上構造は大きく変化しました。通りすがりの“偶然の来店”に依存せず、「また来たい」と思ってもらえる仕組み作り=LTV(顧客生涯価値)の最大化が重要視されるようになっています。
その中で注目されているのが、**「会員制度の導入」**です。
実は、高単価業態だけでなく、居酒屋・カフェ・ラーメン店などでも月額会員制、ポイント制、VIP制度など多彩な導入事例が生まれています。そして、成功しているお店の共通点は「制度設計」が極めて緻密であること。
本記事では、飲食店が継続的な売上とファンを育てるために必要な「会員制度」の設計ステップを、具体事例とともに徹底解説します。
会員制度のメリットとは?
1. LTVを最大化できる(=1人あたりの売上が伸びる)
定期的な来店・予約が発生することで、顧客単価×来店頻度が自然と向上します。
例:
- 非会員の平均来店回数:年2回
- 会員の平均来店回数:年6回
この差が、そのまま年間売上に直結します。
2. 顧客情報が蓄積でき、マーケティングに活かせる
LINEや予約システムと連動させれば、来店履歴・注文傾向などを記録できます。これにより、再来店を促すクーポン配信や、おすすめ提案などのCRM施策が可能になります(関連記事:誕生日特典・会員制度の設計術|飲食店のCRM活用入門)。
3. 価格競争から脱却しやすくなる
「会員だから特別」という認識を作ることで、価格ではなく“価値”で選ばれる店舗になります。高単価メニューへの誘導もスムーズになります。
会員制度のタイプ別・導入事例
1. 月額制・サブスクモデル
例:月額2,980円で、毎月「1杯ドリンク無料+料理1品サービス」
- 【成功事例】ある焼肉店では月額会員300名を獲得し、毎月90万円の安定収入を確保。キャンセル率の低下、来店頻度の増加に寄与。
2. スタンプ・ポイント制
- 【成功事例】あるカフェでは「来店ごとに1スタンプ、10個でドリンク無料」に設定。
→ 累積来店を促進し、常連客比率が30%増加。
LINE連携で自動スタンプを配信する仕組みも有効です(参考:飲食店のLINE公式アカウント活用法|導入〜集客までステップ解説【再来店率もアップ】)。
3. VIP・紹介制モデル
- 【成功事例】紹介された人のみが入れるVIPメンバー制。誕生日月にプレゼントや限定料理を提供。
→ 高客単価の層に刺さり、紹介→再来→リピーター化の流れを確立。
成功する会員制度の設計ステップ
ステップ1|「誰のための制度か?」を明確にする
- 常連客向け?
- 新規客のリピート促進?
- 価格より価値で選ぶ層?
ターゲットごとに提供する特典の内容やコミュニケーション設計が変わります。
ステップ2|「特典」はコストでなく“動機付け”で考える
NG例:「ドリンク無料」「20%オフ」など単なる値引き
OK例:「通常非公開メニュー」「料理人のまかない」「限定イベント招待」など**“体験価値”**を重視
【実例】ある居酒屋では「月1回の“会員限定まかない会”」を特典とし、常連客のLTVが平均1.8倍に増加。
ステップ3|「行動導線」を明確にする
以下を自然に誘導できるように設計します:
- 店舗 → 会員登録
- SNS → 会員登録(XやInstagramプロフィールリンク)
- 来店後 → 会員登録促進(POP/QR)
スタッフ全員が導線の目的を理解し、声かけのルールを統一することが重要です。
会員制度を活用したマーケティング施策
1. LINEとの連携でDM・クーポンを配信
- 誕生日クーポン
- 来店後7日目に再来促進メッセージ
- 会員限定イベントの案内
これらをChatGPT連携などで自動化している飲食店も増えています(参考:ChatGPT導入で予約返信を自動化|個人店の成功例【労力ゼロで返信率100%】)。
2. Google口コミへの誘導を仕組み化
会員登録者に対して「ご意見お聞かせください」と自然にGoogleレビューを促すことで、口コミ増加→MEO評価向上→新規来店増につながります。
仕組み作りのコツは以下に詳しく解説しています:Googleマップで目立つ!MEO対策の具体的な方法と無料ツール
3. 会員別のダッシュボードでデータ分析
自社アプリや予約管理システム上で、以下のデータが可視化されているとベストです:
- 会員ごとの来店回数・金額
- 来店周期(滞在日数)
- クーポン使用率・反応率
よくある失敗とその改善策
失敗例 | よくある原因 | 改善策 |
---|---|---|
登録数が伸びない | 導線が不明瞭、スタッフが声かけしない | POP+トークマニュアル整備 |
退会が多い | 特典がしょぼい、使いにくい | 体験価値を重視した特典設計 |
常連だけが得をする印象 | 新規への優遇がゼロ | 「初回登録特典」や「紹介特典」を加える |
会員制度を続けるための“運用の仕組み化”
1. スタッフ教育とマニュアル整備
- 登録の流れ
- 会員向け接客トーク例
- 特典の提供方法
などを共有することで、制度の“属人化”を防ぐことができます。
2. ツール選定のポイント
機能 | おすすめツール例 |
---|---|
会員管理(属性・履歴) | STORES予約、TableCheck、Rezept |
DM・メッセージ配信 | LINE公式アカウント+L Message |
ポイント管理 | 自社アプリ連携 or POSシステム拡張 |
ツールの選定に迷ったら、以下の記事も参考に:
リピーター増加に効く!LINEステップ配信の自動化アイデア
まとめ|“ファン作り”と“売上安定”の鍵は「設計力」
- 会員制度は“導入すればOK”ではなく、「誰に」「何を」「どう届けるか」の設計力がすべて
- LTV最大化のカギは、“特別な体験”と“続けられる仕組み”の両立
- デジタルツール・AI・LINEを活用すれば、1人でも運用は十分可能
「うちは個人店だから…」と諦めるのではなく、むしろ小さな店だからこそ“密な関係”を築ける強みがあります。
自店の魅力を伝える武器として、今日から会員制度の設計を始めてみませんか?
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