導入|“高単価=難しい”はもう古い。時代は「ブランド焼肉」
「高くてもいい肉を食べたい」「記念日に特別な焼肉を味わいたい」――
価格よりも“体験価値”を求める消費者は着実に増えています。
一方で、原価率や人件費の高騰、差別化の難しさから「安売り競争に巻き込まれている店」も少なくありません。
本記事では、高単価でも選ばれる焼肉店のブランド構築法を、コンセプト設計・価格戦略・演出・SNS・接客・事例など多角的に解説します。
背景|焼肉業態の二極化が加速している
2020年代以降、焼肉業態は次の2極に分かれつつあります。
方向性 | 特徴 | 店舗例 |
---|---|---|
①低価格セルフ型 | 回転率重視/省人化/食べ放題 | 焼肉ライク、焼肉きんぐ |
②高価格・体験型 | 接客重視/希少部位/記念日対応 | うしごろ、西麻布けんしろう |
つまり、「高くても価値を感じるブランド」か「安くて便利な量消費」のどちらかしか選ばれません。
中価格帯・無個性店は生き残りが厳しい時代です。
実践ステップ:高単価でも選ばれる焼肉ブランドの作り方
ステップ1|価格設定の根拠をつくる
■ 高単価が正当化される条件:
- 仕入れルートが希少(A5でも一頭買い/部位指定)
- 提供方法が特別(炭火・藁焼き・鉄板)
- ストーリーがある(生産者/牧場の想い)
▼原価率を高めすぎない工夫
- メイン以外(サイド・ドリンク・デザート)で粗利を取る
- おまかせコースで組成を最適化する
- 記念日用プレート(1,500円〜)で体験価値強化
ステップ2|“誰のための店か”を徹底的に絞る
ターゲット設定の例:
客層 | コンセプト |
---|---|
デート・記念日 | 半個室/照明演出/デザート演出付き |
接待・ビジネス | コース形式/静かな空間/ワイン対応 |
焼肉オタク層 | 希少部位/ホルモン/肉の部位解説付き |
親子三世代 | 広めの席・ジュース飲み放題・絵本完備 |
“万人受け”を目指すとブレます。
「誰にとって特別な店なのか」を軸にすべきです。
ステップ3|世界観を演出する店舗設計
- 看板/照明/壁面の世界観が統一されているか?
- ロゴ・フォント・メニューの印象がブレていないか?
- スタッフの服装・言葉遣いもブランドの一部か?
参考ツール:店舗ブランディング設計支援
- retail design lab(https://retaildesignlab.jp/)
→ 内装・導線設計・ブランディング支援まで一貫サポート
ステップ4|ストーリーで価値を“語らせる”
- 「この部位は熊本の黒毛和牛、月1しか入らない特選部位です」
- 「牧場と直接契約し、3ヶ月熟成させています」
→ メニューや接客で“語る余地”を持たせることが、高単価正当化につながる。
ステップ5|SNS時代の「体験演出」でバズらせる
手法 | 例 |
---|---|
写真映え | 特大牛タンをテーブルでカット/肉の花束盛り |
動画映え | 炙り演出/ドライアイス/火柱系 |
リール/TikTok対応 | スタッフが簡単に撮影できるアングル提供 |
参考ツール:SNS自動投稿
- Canly(https://jp.can-ly.com/)
→ 各SNSに同時投稿/投稿のスケジューリング可
ステップ6|スタッフの“接客力”をブランド化
- 「肉の説明が的確で、楽しかった」と言われるように育成
- 接客マニュアルをChatGPTで生成し、定着を支援
ステップ7|価格表記と注文導線の心理設計
- メニューはコースが上部、単品は下部に配置
- 価格は税込表示/端数を避ける(例:5,980円ではなく6,000円)
- タブレット注文の場合も「おまかせ」「人気No.1」など選ばせる設計を
成功事例に学ぶ:高単価焼肉店のブランディング
■ うしごろ(株式会社サング)
- 【平均客単価】1人8,000円〜12,000円
- 【特徴】完全予約制/コース特化/スタイリッシュ内装
- 【評価点】「記念日に最適」「味と接客が別格」
■ 焼肉トラジ(Tジオグループ)
- 【平均単価】6,000円前後
- 【戦略】都心部に集中的出店/上質だけど入りやすい価格帯
■ 焼肉たむら(タレント店舗型)
- 【ブランディング】タレント×肉=話題性
- 【注意点】“本質”の価値が伴わないと失速リスクも
よくある質問(FAQ)
Q. 高単価にすると客数が減りませんか?
A. はい、減ります。 ただし「来店単価×再来率」が上がれば売上・利益はむしろ安定します。
Q. ブランディングにお金をかける余裕がありません
A. 小さなことから始めてください。 ロゴや照明・メニュー表・接客トークの“統一感”だけでも印象は大きく変わります。
Q. 焼肉のブランディングに「ストーリー」って必要ですか?
A. 必要です。 特に肉は「差別化」が難しいため、選ばれる理由を“語れる設計”が求められます。
まとめ|価格ではなく“理由”で選ばれる店へ
焼肉業態のブランディングで成功する鍵は、「価格ではなく理由で選ばれる構造」にあります。
「なぜこの部位がこの値段なのか?」「なぜこの店が記念日に選ばれるのか?」
そういった問いに、**店全体で“自然に答えられる構造”**を作ることが、高単価ブランドの本質です。
薄利多売の限界を感じたら、ぜひ“価値を高くして売る”道を検討してください。
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