「どんぶり勘定」での失敗を避ける。飲食店開業前に必須の「資金シミュレーション」作成ガイド【2025年最新】

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はじめに

「自分の城を持ちたい」という熱い想いを胸に、飲食店の開業を目指す。それは素晴らしい夢です。しかし、その夢を現実のビジネスとして成功させるためには、情熱や美味しいレシピだけでは乗り越えられない壁があります。それが「資金計画」です。

飲食店の廃業理由の上位には、常に「運転資金のショート」が挙げられます。これは、開業前の「どんぶり勘定」や、甘い見通しが原因であることが少なくありません。

そこで不可欠となるのが、事業の設計図とも言える「資金シミュレーション」です。これは単なる予算書ではありません。開業から経営が軌道に乗るまで、お店のお金の流れを具体的に予測し、あらゆるリスクに備えるための航海図です。

この記事では、飲食店開業の成功確率を飛躍的に高めるための、具体的でリアルな資金シミュレーションの作り方を、3つの重要な計画に分けてステップバイステップで解説していきます。

STEP 1:【開業資金計画】何に、いくら必要か?を徹底的に洗い出す

まず、お店をオープンさせるために必要なすべての費用(初期投資)を、可能な限り正確にリストアップします。

1. 物件取得費

お店の契約にかかる費用です。一般的に家賃の6〜10ヶ月分が目安となります。

  • 保証金(敷金):家賃の6〜10ヶ月分
  • 礼金:家賃の0〜2ヶ月分
  • 仲介手数料:家賃の1ヶ月分
  • 前家賃:契約月の家賃

2. 内外装工事費

物件の状態(スケルトンか居抜きか)によって大きく変動します。複数の業者から相見積もりを取り、慎重に検討しましょう。

  • 設計・デザイン費
  • 内外装工事費(電気・ガス・水道工事含む)

3. 厨房設備・什器費

お店の心臓部である厨房と、お客様が過ごす空間を作るための費用です。

  • 厨房機器:コンロ、オーブン、冷蔵庫、製氷機、洗浄機など
  • 客席什器:テーブル、椅子、ソファなど
  • その他:POSレジ、空調設備、食器・調理器具など

初期投資を抑えたい場合、「開業費用を抑える厨房機器の中古活用術|リース・買取どちらがお得?」を参考に、中古品やリースを検討するのも賢い選択です。

4. 運転資金【最重要項目】

これが尽きると、お店は営業を続けられません。 オープン直後は、売上が安定しないことがほとんどです。最低でも、月々の固定費(家賃、人件費など)の6ヶ月分は、手を付けずに確保しておくことを強く推奨します。

5. その他諸経費

広告宣伝費、許認可取得費用、最初の食材仕入れ費、求人広告費なども忘れずに計上します。

これらの資金を「自己資金」だけで賄うのか、「融資」を受けるのかも計画します。融資を検討する場合、日本政策金融公庫の創業融資は、多くの開業者が利用する選択肢の一つです。

STEP 2:【売上計画】希望的観測ではなく、現実的な数字を導き出す

次に、お店がどれくらいの売上を上げられるかを予測します。ここでのポイントは、楽観・現実的・悲観の3つのシナリオを用意することです。

売上予測の基本計算式

客単価 × 席数 × 回転数 × 満席率 × 営業日数 = 月商

  • 客単価:ランチとディナー、平日と週末で分けて設定します。
  • 席数:お店の座席数です。
  • 回転数:1席が営業時間内に何回使われるか。カフェのランチなら2〜3回転、居酒屋のディナーなら1.5〜2回転など、業態に合わせて現実的な数値を設定します。
  • 満席率:常に満席とは限りません。平日は70%、週末は90%など、現実的な数値を加味します。

(例)3つの売上シナリオ

【現実的シナリオ】月商 150万円

【楽観シナリオ】月商 180万円(現実的シナリオの120%)

【悲観シナリオ】月商 105万円(現実的シナリオの70%)

事業は、悲観シナリオでも赤字にならないことを目指して計画する必要があります。

STEP 3:【損益・資金繰り計画】利益と「手元に残る現金」の流れを予測する

売上計画が立ったら、次はその売上から経費を差し引き、どれくらいの利益が残り、現金がどう動くのかをシミュレーションします。

1. 損益計画(P/L)

月々の利益を計算します。

  • 売上高:STEP 2で算出したもの
  • 変動費:売上に比例して変動する費用。主に食材原価(F)とドリンク原価。一般的に売上の30%程度が目安。
  • 固定費:売上に関わらず発生する費用。人件費(L)家賃(R)、水道光熱費、広告宣伝費、減価償却費、借入金の利息など。
  • 営業利益:売上高 – 変動費 – 固定費

FLRコスト(食材費、人件費、家賃の合計)が売上の70%以内に収まっているかが、一つの経営指標となります。

2. 資金繰り計画(キャッシュフロー)

利益が出ていても、現金がなくなれば倒産(黒字倒産)します。 手元現金の動きを予測する、最も重要なシミュレーションです。

  • 収入:売上(現金、カード入金など)
  • 支出:仕入れ費、人件費、家賃、水道光熱費、借入金の元本返済など
  • 月の収支:収入 – 支出
  • 繰越残高:前月の残高 + 月の収支

重要なのは、損益計画には含まれない「借入金の元本返済」が、資金繰り計画では大きな支出となる点です。このシミュレーションにより、開業後、何ヶ月目に運転資金が底を突く可能性があるかを事前に把握できます。詳細は「飲食店の資金繰り実例集|黒字倒産を防ぐための月次管理術」もご参照ください。

3. 損益分岐点売上の算出

「最低でも、いくら売り上げれば赤字にならないか」という損益分岐点を計算します。

計算式:固定費 ÷ {1 – (変動費 ÷ 売上高)}

この数値を把握することで、日々の営業目標が明確になります。

まとめ:シミュレーションは、夢を現実に変えるための設計図

資金シミュレーションの作成は、複雑で骨の折れる作業です。しかし、このプロセスを通じて、あなたが開業しようとしているお店の解像度は飛躍的に高まります。

どこにリスクが潜んでいるのか。目標達成のために、あと何が必要なのか。それらが具体的に見えてくるはずです。

日本政策金融公公庫のウェブサイトでは、創業計画書のテンプレートも配布されています。それらを参考に、ぜひご自身の事業計画を数値に落とし込んでみてください。緻密なシミュレーションは、金融機関からの融資獲得の際にも、あなたの熱意と本気度を伝える強力な武器となります。

「どんぶり勘定」という名の無謀な航海に出るのではなく、精巧な航海図を手に、着実な一歩を踏み出しましょう。

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この記事を書いた人

ヒロさんのアバター ヒロさん 代表取締役

ヒロ(Hiro)
元システムエンジニア。現在はIT企業の代表として、AIと飲食の融合に挑戦中。
小さい頃から飲食が大好きで、親と共に数々のレストランを巡って育ちました。
趣味は料理で、時折自ら主催する「ヒロさん会」では友人たちに手料理を振る舞っています。
六本木の知る人ぞ知る名店ワインバー「バロンルージュ」には15年間通い続け、現在はバロンルージュのオーナーシェフがいる銀座の「WineBar Le Domrémy」の常連です。
このブログでは、飲食業界の皆様がAIを使いこなし、経営と現場の両面で楽になる情報をお届けしています。

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