「ただの常連」で終わらせない。特別な体験で生涯顧客を育てる、飲食店のVIP会員制度・成功ロードマップ

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はじめに

あなたのお店には、「いつも来てくれる、ありがたいお客様」が何人いるでしょうか。そのお客様は、お店の売上の大部分を支える、最も大切な存在のはずです。

飲食店の売上の8割は、上位2割の顧客が生み出す──。この「パレートの法則」は、多くのビジネスで当てはまる経験則ですが、飲食店経営においてはこの傾向がより一層顕著に現れます。

しかし、多くのお店では、初めてのお客様も、10回来てくれたお客様も、同じようにサービスを提供してしまいがちです。これでは、お店を愛してくれるお客様の「特別な想い」に応えることはできません。

この記事では、単なる割引やポイントカードといった「取引」の関係を超え、お客様との間に深い「絆」を築き、生涯にわたってお店を支えてくれる「VIP顧客」を育成するための、戦略的な会員制度の設計から運用までの成功ロードマップを、具体的なステップと事例を交えながら徹底的に解説します。

なぜ今、VIP顧客の育成が「最強の経営戦略」なのか?

VIP顧客、すなわちお店の熱心なファンは、経営に計り知れない恩恵をもたらします。

  • 高いLTV(顧客生涯価値):VIP顧客は、来店頻度が高く、一回あたりの利用金額(客単価)も多い傾向にあります。長期的に見れば、一人のお客様がお店にもたらす利益は、新規顧客の数十倍にもなり得ます。
  • 安定した売上基盤:景気の変動や季節、トレンドに左右されにくく、常に安定した売上をもたらしてくれます。彼らの存在は、経営者にとって何よりの精神的な支えとなります。
  • 質の高い口コミの源泉:VIP顧客は、自らの言葉で、熱意をもってお店の魅力を友人や同僚に語ってくれます。彼らは、どんな広告よりも信頼性の高い「歩く広告塔」なのです。
  • 貴重なフィードバックの提供者:お店への愛情が深いからこそ、新メニューやサービスに対して、本質的で建設的な意見をくれることがあります。

つまりVIP顧客の育成とは、短期的な売上を追うのではなく、お店の10年後、20年後を支える強固な土台を築くための、最も重要な投資活動なのです。

VIP会員制度・成功への5ステップ・ロードマップ

では、具体的にどのようにVIP会員制度を構築し、運用していけばよいのでしょうか。5つのステップに分けて解説します。

STEP 1:VIPの「定義」と「基準」を明確にする

まず、「誰があなたのお店にとってのVIPなのか」を定義します。この基準が曖昧だと、制度そのものが形骸化してしまいます。

  • 基準の例
    • 来店回数基準:「半年以内に10回ご来店されたお客様」
    • 利用金額基準:「累計のご利用金額が10万円を突破したお客様」
    • 特定メニュー注文基準:「高単価のコースメニューを3回以上ご注文されたお客様」
    • 招待制:店長やスタッフが「この人は本当にお店のことを好きでいてくれる」と感じたお客様を、直接スカウトする方式。特別感を最も演出しやすい方法です。

ポイント:基準は、少し頑張れば手が届く、絶妙なラインに設定すること。簡単すぎると特別感が薄れ、難しすぎると誰も目指さなくなります。

STEP 2:「特別感」を演出する特典を設計する

VIP会員制度の魅力は、特典そのものです。単なる「お得感」だけでなく、「自分は大切にされている」と感じられる「特別感」をいかに演出できるかが鍵となります。

  • 金銭的特典(基本)
    • 会計常時10%OFF
    • 誕生日・記念日月の特別割引やデザートプレートのプレゼント
    • 会員限定の割引クーポン
  • 非金銭的特典(体験・ステータス)【最重要】:こちらがVIP顧客の心を掴むための本質です。
    • 裏メニュー・限定メニューの注文権:「会員様だけにご用意している特別な一品がございます」
    • 先行予約・優先予約権:人気のシーズンや週末でも席を確保できる安心感。
    • 会員限定イベントへの招待:新メニューの試食会、希少な日本酒のテイスティング会、契約農家を招いての食事会など。
    • パーソナルなサービス:ネーム入りのボトルやグラス、お箸などを店内でキープできる。
    • 店長・シェフからのサプライズ:「いつもありがとうございます。こちらは私からの一品です」

これらの特典設計については、「飲食店の会員制度設計ガイド|LTVを最大化する仕組み作り」でも詳しく解説しています。

STEP 3:運営ツールを選定・導入する

設計した制度を、どのようなツールで運用するかを決定します。

  • アナログ方式
    • 高品質な会員カード:プラスチック製や金属製など、財布に入れておきたくなるような、所有欲をくすぐるデザインのカードを発行します。小規模で、特に高級感や隠れ家的な雰囲気を重視する店舗に向いています。「アナログ接客がファンを作る|小さなお店の事例」が示すように、手触りのあるコミュニケーションが効果的です。
  • デジタル方式
    • LINE公式アカウント:ショップカード機能や、会員だけに特別なメッセージを送るセグメント配信機能を活用します。多くの顧客が日常的に使うツールなので、導入のハードルが低いのが魅力です。「LINEミニアプリで実現するリピート強化術」も視野に入れると、より高度な管理が可能です。
    • 店舗アプリサービス:GMOおみせアプリなどのサービスを利用し、自店オリジナルのアプリを作成。プッシュ通知や高度なクーポン機能で、よりダイレクトにアプローチできます。
    • CRM連携予約システムTableCheckなどの顧客管理機能が充実した予約システムでは、VIP顧客にタグを付け、予約が入った瞬間にそのお客様の過去の注文履歴や好みをスタッフ全員で共有できます。

STEP 4:制度を告知し、参加を促進する

どんなに素晴らしい制度も、お客様に知ってもらえなければ意味がありません。

  • 店内での告知:メニューブックやテーブルPOPで、会員制度の存在と、その魅力的な特典を分かりやすく伝えます。
  • スタッフからの声かけ:「お客様のように、いつも当店を大切にしてくださる方のために、特別な会員制度をご用意しております」と、有望な常連客に直接お声がけするのが最も効果的です。
  • Web・SNSでの発信:公式サイトやSNSで、「会員限定イベント」の様子などを発信し、会員になることへの憧れを醸成します。

STEP 5:VIP顧客との「対話」を深める

制度は、顧客を管理するためのものではなく、コミュニケーションを深めるための「きっかけ」です。

  • パーソナライズされた情報発信:「〇〇様、お好きだった△△(ワインなど)が再入荷いたしました」
  • 意見を求める:「今度、新しいコースを始めるのですが、会員の皆様にだけ、ご意見をお聞かせ願えませんか?」と、特別感を演出し、お店作りに巻き込むことで、「自分のお店」という当事者意識が芽生えます。

まとめ:「お客様」から「応援団」へ。お店と共に歩む関係を築く

成功しているVIP会員制度は、単なる顧客サービスを超え、お店とお客様が共に成長していく「コミュニティ」を形成しています。

VIP顧客は、もはや単なる「お客様」ではありません。お店の歴史やこだわりを深く理解し、心から成功を願ってくれる、最も信頼できる「応援団」なのです。

まずは、あなたのお店を心から愛してくれている、数人のお客様の顔を思い浮かべることから始めてみてください。その方々のために、自分なら何ができるだろうか。その問いの答えこそが、あなたのお店だけの、最高のVIP会員制度の第一歩となるはずです。

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この記事を書いた人

ヒロさんのアバター ヒロさん 代表取締役

ヒロ(Hiro)
元システムエンジニア。現在はIT企業の代表として、AIと飲食の融合に挑戦中。
小さい頃から飲食が大好きで、親と共に数々のレストランを巡って育ちました。
趣味は料理で、時折自ら主催する「ヒロさん会」では友人たちに手料理を振る舞っています。
六本木の知る人ぞ知る名店ワインバー「バロンルージュ」には15年間通い続け、現在はバロンルージュのオーナーシェフがいる銀座の「WineBar Le Domrémy」の常連です。
このブログでは、飲食業界の皆様がAIを使いこなし、経営と現場の両面で楽になる情報をお届けしています。

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