導入|“来る人”から“通う人”へ。VIP制度は飲食店の武器になる
「売上はあるけどリピーターが少ない…」
「値引きではなく、価値で常連を育てたい」
そう考える飲食店にとって、“VIP会員制度”は単なるサービスの一環ではなく、顧客との関係性を深める戦略的手段です。
本記事では、実際の導入事例を交えながら、VIP制度を成功させる設計法と導入時の注意点、CRMやLINEとの連携方法を徹底解説します。
背景|リピーター育成が飲食店経営の鍵
以下はある焼肉店の来店データです。
- 新規客の平均単価:5,000円
- 常連客の平均単価:7,800円(+再訪率 40%以上)
つまり、新規を集め続けるより、常連を育てた方が利益率は高く安定します。
VIP制度はこの“ロイヤルカスタマー育成”のための設計図になります。
VIP会員制度とは?|目的と構造の基本
◉ VIP制度の定義
- 一定の条件を満たした顧客に対し、特別な特典・体験を提供
- 飲食店における「会員制」「上位顧客施策」の一種
◉ 目的
- 優良顧客のLTV(生涯価値)を最大化する
- 顧客満足度・ロイヤリティを高め、再訪率を上げる
- 顧客との“関係資産”を構築
実際の導入事例|業態別の成功パターン
① 焼肉店のVIPパス制(回数制限付き優待)
- 条件:年間5回来店でVIPパス発行
- 特典:毎回ドリンク1杯無料/限定部位の優先提供
- 成果:VIP登録者の年間来店数が平均7回に増加
② カフェのサブスク型VIP(月額制)
- 価格:月額2,500円
- 特典:ドリンク1日1杯無料+先行予約枠+貸切イベント招待
- 成果:LTVが非VIPの2.6倍/月会費収益も安定
③ 和食店の“非公開”VIP制度(紹介制)
- 条件:スタッフ推薦 or 紹介制のみ
- 特典:裏メニュー、予約優先、手書きのお礼状
- 成果:退店後のレビュー投稿率が80%超/紹介での新規顧客率30%
④ 居酒屋のLINE連動VIP制度
- 条件:LINEスタンプカード来店10回でVIP昇格
- 特典:LINEからVIP限定クーポン/非公開イベント招待
- 成果:VIP登録者の来店率が2倍/LINE友達数の増加
設計ステップ|VIP制度を導入するための5ステップ
ステップ1|VIPの定義を決める
基準タイプ | 内容 |
---|---|
来店回数型 | 月3回以上来店、年間10回以上 |
金額基準型 | 累計3万円以上利用 |
サブスク型 | 月額1,000〜3,000円で会員化 |
紹介制・招待制 | スタッフ推薦 or 常連の紹介 |
ステップ2|VIP特典の設計
特典タイプ | 内容例 |
---|---|
無料系 | ドリンク1杯/前菜サービス |
優待系 | 限定メニュー/予約枠優先/割引 |
体験系 | シェフとの懇親会/記念日演出/限定イベント |
関係性系 | スタッフの手書きカード/個別メッセージ/裏話共有 |
ステップ3|可視化&通知の仕組みを作る
- VIPカード・ネーム入りチケット
- LINE/メールでの定期配信
- 店舗スタッフへの共有リスト(VIP顧客情報)
ステップ4|運用ルールと自動化
- 誰がどう昇格させるか?(スタッフ権限?自動集計?)
- 退会・降格のルールは?(半年未利用でリセットなど)
- ツール導入(例:LINE連携、Googleスプレッドシート管理)
ステップ5|CRM連携・データ活用
- 来店履歴/購入履歴/アンケート情報を蓄積
- おすすめ配信・誕生日特典の自動配信
- 【ツール例】L Message、KUZEN、LINE API連携 etc
注意点|VIP制度導入時の落とし穴と対策
注意点 | 解説 | 対策 |
---|---|---|
不公平感 | 常連と新規で差が付きすぎる | 非VIPにも「昇格チャンス」を明示 |
スタッフの対応ミス | VIPを認識していない接客で不満発生 | 顧客管理シート&教育マニュアルを整備 |
特典内容が陳腐化 | 特典が「またこれか…」で飽きられる | 季節ごとの変化やイベント連動 |
管理が煩雑化 | 昇格条件・特典管理が人手依存 | 自動化ツールで一元管理が必須 |
ツール紹介|VIP制度を支えるCRM・自動化ツール
ツール | 主な機能 | URL |
---|---|---|
L Message | LINE来店回数カウント/ステップ配信 | https://lme.jp/ |
KUZEN | チャットボット型CRM構築 | https://www.kuzen.io/ |
RakuRaku販促 | メール会員管理・分析 | https://www.zenrin.co.jp/product/category/spsupport/selection/index.html |
よくある質問(FAQ)
Q. VIP制度を導入すると一般客が離れませんか?
A. 離れません。 むしろ「VIPになりたい」という動機になり、来店頻度を上げるきっかけになります。
Q. スタッフがうまく対応できない場合は?
A. 顧客情報の“見える化”と接客マニュアル整備が重要です。 ChatGPTで対応スクリプトを作っておくのも有効です。
Q. 店舗が1つでもVIP制度は有効ですか?
A. はい、むしろ1店舗だからこそ“人との関係性”が資産になります。 スモールスタートを推奨します。
まとめ|VIP制度は“お得な客”ではなく“関係性資産”を生む
VIP制度は、「値引きでリピーターを囲う」施策ではありません。
本質は、顧客と継続的に接点を持ち、関係性を深める仕組みです。
SNS、LINE、スタッフ接客、CRM――すべてを連動させて、
「あなたのお店が“選ばれる理由”」を育てていきましょう。
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