はじめに
LINE公式アカウントを運用している飲食店の多くが、その「顔」とも言える「リッチメニュー」の重要性を見落としています。
トーク画面の下部に常に固定表示されるリッチメニューは、LINEアカウント内で最もクリック率が高い、いわば「一等地の看板」です。ここをデフォルト設定のままにしたり、単なる飾りにしたりしているのは、駅前の一等地に「準備中」の看板を出し続けているのと同じくらい、もったいないことです。
戦略的に設計されたリッチメニューは、お客様を24時間自動で「予約」「メニュー閲覧」「再来店」へと誘導する最強のセールスマンとなります。
この記事では、飲食店のLINE公式アカウント活用において核となる、リッチメニューの具体的なデザインのコツと、予約・リピートを増やすための活用アイデアを徹底解説します。
1. なぜリッチメニューが「最強の看板」なのか?
リッチメニューが他の情報発信(一斉配信など)と決定的に違うのは、その「常時固定性」と「誘導力」です。
- ① 常に画面下部に表示される お客様があなたのアカウントのトーク画面を開いた時、必ず目に入る場所です。わざわざ過去の投稿を遡る必要がなく、アクセス性は抜群です。
- ② 視覚的に行動を促せる テキストだけでなく、料理の写真やアイコンを使ったデザインで、「ここを押せば予約できる」と直感的に伝えることができます。
- ③ 24時間、自動でお店を案内できる 「予約」「地図」「メニュー」など、お客様が求める情報への入り口を集約することで、スタッフの手を借りずに自己解決を促し、機会損失を防ぎます。
2. 予約が増える!リッチメニューデザインの3原則
クリックされるリッチメニューには共通点があります。
原則1:情報(ボタン)の取捨選択
リッチメニューは、最大6分割まで設定できますが、ボタンが多すぎるとお客様は迷います。自店がお客様に「最も取ってほしい行動」は何かを明確にしましょう。
- 【6分割】情報網羅型
- 「予約」「メニュー」「クーポン」「アクセス」「SNS」「テイクアウト」など、多くの情報を提供したい場合に最適です。
- 【4分割】バランス型
- 「予約」「メニュー」「クーポン」「アクセス」など、主要な導線をシンプルに配置。最も使いやすい型の一つです。
- 【3分割】アクション特化型
- 「今すぐ予約する」など、特定の行動(コンバージョン)を強く促したい場合に有効です。
原則2:一目でわかるビジュアル
デザインの美しさよりも「わかりやすさ」が重要です。
- 写真を使う:シズル感のある料理の写真を背景やボタンに使うと、飲食店の魅力が伝わります。
- アイコンを使う:「予約」には電話やカレンダー、「メニュー」にはフォーク&ナイフのアイコンを添えるなど、直感的に理解できるよう工夫します。
- テキストは大きく:ボタン内の文字は「クーポン」「MAP」など、短く・大きく・読みやすく配置します。
原則3:お店の世界観(ブランド)を統一する
リッチメニューは「お店の顔」です。お店のロゴに使われている色、内装の雰囲気、メニューブックのデザインとトンマナ(トーン&マナー)を合わせることで、ブランドイメージが向上します。
3. 飲食店向け・リッチメニュー活用アイデア7選
リッチメニューに設定すべき、具体的な「ボタン」のアイデアをご紹介します。
①【最重要】予約ボタン
これは必須のボタンです。お客様が「行きたい」と思った瞬間に、ワンタップで予約を完了できるようにします。
- リンク先:
- グルメサイト(食べログ、ホットペッパーなど)の自店予約ページ
- 自社予約システム(Toreta、TableCheckなど)
- 電話番号(タップで電話発信)
- LINEのチャット(AIによる自動応答と組み合わせると強力)
②【重要】メニューボタン
お客様が「何を食べられるか」をすぐに確認できるようにします。
- リンク先:
- 公式HPのメニューページ
- メニューブックのPDF(※ただしデータが重すぎないよう注意)
- Instagramのハイライト(メニュー紹介)
③【リピート促進】クーポン・スタンプカードボタン
リピーターを増やすための強力なフックです。
- リンク先:
- LINEのクーポン機能で作成した「(LINE友だち限定)クーポン」
- LINEの「ショップカード(スタンプカード)」機能
- CRMと連携した会員制度の案内ページ
④【来店促進】アクセス(MAP)ボタン
「お店の場所がわからない」という離脱を防ぎます。
- リンク先:
- Googleマップの店舗情報へのリンク(タップで地図アプリが起動)
- 公式HPのアクセスページ(最寄り駅からの写真付き道案内など)
⑤【ファン化】SNS・HP連携ボタン
LINE以外の情報発信チャネルへ誘導し、お客様との接点を増やします。
- リンク先:
- Instagram(お店の雰囲気や世界観を伝える)
- X(旧Twitter)(お店の「今」の空席情報や日替わりメニューを発信)
- 公式HP(お店のこだわりやコンセプトを伝える)
⑥【売上UP】テイクアウト・デリバリーボタン
イートイン以外の売上の柱を案内します。
- リンク先:
- テイクアウト・デリバリーの注文ページ(Uber Eats、出前館など)
- LINEのチャットボットを使ったテイクアウト注文フォーム
⑦【更新】季節・イベント告知ボタン
リッチメニューは一度作ったら終わりではありません。6つのボタンのうち1つだけを「入れ替え枠」にするのが上級テクニックです。
- 例:
- (春)「お花見オードブル予約受付中」
- (夏)「夏限定!冷製パスタ」
- (秋冬)「忘・新年会プラン受付開始」
- この枠を定期的に更新することで、お客様を飽きさせず、季節メニューへの注目度を高めることができます。
4. どうやって作る?リッチメニューの設定方法
リッチメニューの設定は、専門知識がなくても無料で簡単に行えます。
- STEP 1:デザイン画像を作成する
- おすすめツール:Canva (キャンバ)
- 無料のデザインツールCanvaには、LINEリッチメニュー専用のテンプレートが豊富に用意されています。写真やテキストを入れ替えるだけで、プロ品質のデザインが作成可能です。
- おすすめツール:Canva (キャンバ)
- STEP 2:LINE公式アカウントマネージャーで設定
- ツール:LINE Official Account Manager
- ① PCで管理画面にログイン。
- ② ホーム画面の「トークルーム管理」→「リッチメニュー」を選択。
- ③ 「作成」ボタンを押し、テンプレート(例:6分割)を選択。
- ④ STEP1で作成した画像をアップロード。
- ⑤ 各ボタン(A〜F)ごとに「アクション」を設定(例:Aには「リンク」を選び、予約ページのURLを入力)。
- ⑥ 表示期間を設定して「保存」すれば完了です。
5. まとめ|リッチメニューは「おもてなし」の入り口
リッチメニューは、ただの「ボタン」ではありません。お客様が「知りたい」と思った情報に、迷わず辿り着けるようにする「おもてなし」の設計そのものです。
「予約ボタンは押しやすいか?」 「メニューは見やすいか?」 「お店の魅力が伝わるデザインか?」
ぜひこの機会に、あなたのお店のLINEリッチメニューを見直してみてください。この「最強の看板」を最適化することが、LINEを使った自動化ステップ配信やクーポン配信の効果を最大化し、未来の予約とリピーターを育てる最短の近道となります。


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