はじめに|1時間の差が「売上」と「心の余裕」を生む
飲食店経営では「時間=資源」です。
- 開店準備が30分短縮できた
- 発注作業が15分減った
- シフト作成が自動化された
これだけでも、売上を生む時間・教育に使える時間・スタッフとの会話の時間が増えます。
本記事では、実際に1日あたり1時間の業務時間削減に成功した飲食店の実例をもとに、どのように業務改善を行ったのか、ステップ形式で詳しく解説します。
背景|「忙しいのに売上が伸びない」飲食店の共通点
無駄な作業に時間を奪われている
- 手書きの発注表
- 口頭の申し送り
- 電話予約のメモ転記
- Excelで毎週つくる同じような売上表
こうした“やらなくてもいい作業”や“繰り返しの作業”に追われていると、本来やるべき「売上を上げる仕事」ができなくなります。
実例|1日1時間を削減した飲食店「酒と小皿 ミツバチ」
東京都内で個人営業している居酒屋「酒と小皿 ミツバチ」。
店舗規模:カウンター8席+テーブル2卓/スタッフ数4名(アルバイト含む)
かつては、
- 開店準備に90分
- 発注・仕込み・申し送り・集計業務で閉店後に+60分
が常態化しており、毎日14時間労働が続いていたといいます。
ステップ1|業務棚卸しをして「時間の使われ方」を可視化
店長がまず取り組んだのは、“やっている作業をすべて書き出す”ことでした。
主な項目と所要時間の例
業務 | 所要時間 | 備考 |
---|---|---|
開店前清掃・準備 | 30分 | フロア・厨房両方を1人で実施 |
仕込み・食材確認 | 45分 | 3日分まとめて発注+確認 |
発注入力 | 20分 | メモ → スプレッドシート入力 |
予約確認・転記 | 15分 | 電話受付+LINE → 台帳転記 |
日報作成・売上管理 | 20分 | 手計算+手書き転記 |
ステップ2|無料ツール+AIを活用して業務を仕組み化
改善1:発注作業の自動化(20分 → 3分)
- 使用ツール:[Googleフォーム+スプレッドシート+関数]
- 毎日の使用数をスマホで入力 → 自動で発注数量を算出・集計
- 卸業者には週1でメール送信(テンプレ化)
📌 ポイント:手書き→Excel→メールという三重作業を削減
改善2:予約受付をLINE+予約ツールに一本化(15分 → 2分)
- 使用ツール:STORES予約(無料プラン)+LINE公式アカウント連携
- 電話予約はなるべくLINE誘導/受けた場合もワンタップで入力
- お客様自身に入力してもらう設計に変更
📌 ポイント:台帳転記・確認ミスの削減+深夜の返信作業をゼロに
改善3:日報作成をAIで半自動化(20分 → 5分)
- 使用ツール:ChatGPT + Googleスプレッドシート
- 売上・客数・人気メニューを入力すると、自動で「振り返りコメント」を作成
- 週報も自動で生成 → オーナー報告用にそのまま送信可能に
📌 ChatGPT入力例:
「今週の売上と客数データから、改善点と良かった点を200文字以内でまとめて」
改善4:申し送り・業務共有をNotionで一元化
- 使用ツール:Notion(無料)
- 業務連絡/備品在庫/仕込み一覧/シフト表を一元管理
- スマホで共有できるため、LINEでのバラバラな連絡が減少
📌 導入前は「伝えた/聞いてない」のトラブルが多発していたが、記録の共有で責任範囲が明確に
ステップ3|改善後の変化とメリット
時間的な変化(1日平均)
業務内容 | Before(分) | After(分) | 削減時間 |
---|---|---|---|
発注管理 | 20 | 3 | ▲17分 |
予約処理 | 15 | 2 | ▲13分 |
日報作成 | 20 | 5 | ▲15分 |
情報共有 | 10 | 2 | ▲8分 |
清掃・準備 | 30 | 20 | ▲10分(担当割) |
合計 | 95分 | 32分 | ▲63分(約1時間) |
定性的な変化
- 店長が毎日30分早く帰れるようになった
- スタッフの不満(情報の不透明さ)が減った
- 時間に余裕ができ、商品開発やSNS投稿に回せるようになった
- シフトの“穴埋め”ではなく“未来設計”の時間が生まれた
よくある質問(FAQ)
Q. 小さなお店でも業務改善できますか?
A. できます。むしろ個人店こそ「1人あたりの業務負担が重くなりやすい」ため、時間短縮のインパクトが大きいです。
Q. ITツールに詳しくないと無理では?
A. 無料のテンプレートやノーコードツールが多数あります。ChatGPTを使えばマニュアルや使い方も教えてくれます。
Q. AIの分析結果は信用できますか?
A. 完全に依存せず、「補助的な意見」として活用するのがポイントです。客観データをもとに対話できる環境が重要です。
まとめ|時間の見直しが、経営の余白を生む
- 飲食店において「時間」は最大の資産
- 業務の洗い出し→ツール活用→継続的な改善が鍵
- 店長が疲弊せず、スタッフが成長する組織へ
- 1日1時間の削減で、年間約360時間の創出が可能
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