はじめに
「冷蔵庫に製氷機、オーブンに食洗機…。新品で見積もりを取ったら、予算を数百万円もオーバーしてしまった」
飲食店の開業準備において、多くのオーナーが最初に直面する壁が「厨房機器の価格」です。 理想のスペックをすべて新品で揃えようとすると、小規模な店舗でも200万〜400万円は軽くかかってしまいます。
しかし、ここで無理をして開業資金を使い果たしてしまうと、オープン後の運転資金が枯渇し、経営危機を招く原因となります。
賢い経営者は、新品にこだわらず「中古」や「リース」を巧みに組み合わせることで、初期費用を劇的に圧縮しています。
この記事では、厨房機器を低予算で揃えるための具体的な「裏技」と、それぞれのメリット・デメリット、そして「絶対にケチってはいけない機器」の境界線を徹底解説します。
1. そもそも、初期費用を抑える3つの選択肢とは?
厨房機器を揃える方法は、大きく分けて3つあります。それぞれの特徴を理解し、使い分けることが節約への第一歩です。
| 購入方法 | 初期費用 | 総支払額 | 所有権 | おすすめの機器 |
|---|---|---|---|---|
| ① 新品購入 | 高い | 安い | 自店 | 壊れやすい機器、最新機能が必要な機器 |
| ② 中古購入 | 安い | 安い | 自店 | シンク、作業台、構造が単純な機器 |
| ③ リース契約 | 0円〜 | 高い | リース会社 | 高額で長く使う機器(食洗機、大型冷蔵庫) |
この表を見てわかる通り、全てをどれか一つに絞る必要はありません。「これは中古」「これはリース」というハイブリッド戦略こそが、最強のコストダウン術です。
2. 【裏技1】「中古」活用の極意と目利きポイント
中古機器の最大の魅力は、新品の半額〜7割程度で購入できる安さです。しかし、「安物買いの銭失い」になるリスクもあります。
積極的に「中古」で買うべきもの
構造が単純で、故障のリスクが極めて低いものは、迷わず中古を選びましょう。
- シンク・作業台・吊り戸棚:ステンレスの板金製品は、磨けば新品同様に使えます。サイズさえ合えば、新品を買う理由はほぼありません。
- 製氷機:意外と頑丈で、中古市場にも良品が多く出回っています。ただし、内部のフィルターやスコップの有無は確認しましょう。
- ガスコンロ(ガステーブル):構造がシンプルなので、バーナーキャップの詰まりなどを掃除すれば長く使えます。
中古で買う時、注意が必要なもの(目利きが必要)
- 業務用冷蔵庫:パッキンの劣化や、コンプレッサー(心臓部)の異音がないか要確認。製造から5年以上経過しているものは、電気代が高かったり、すぐ壊れたりするリスクがあります。
- 食器洗浄機:洗剤供給装置の状態や、パッキンの水漏れリスクがあります。修理代が高額になりがちなので、保証期間が付いている専門店で購入しましょう。
おすすめの中古厨房機器販売店
- テンポスドットコム:全国に実店舗を持つ最大手。実物を見て選べる安心感があり、メンテナンス体制もしっかりしています。
- 厨房市場:ネット通販に強く、豊富な在庫から選べます。
3. 【裏技2】「リース契約」で初期費用ゼロにする
リースとは、リース会社が代わりに機器を購入し、それを店舗に「長期間(5〜7年)貸し出す」契約です。レンタルとは違い、新品を導入できます。
リースのメリット
- 初期費用が不要:月々の支払い(数千円〜数万円)だけで、数百万円クラスの機器を導入できます。キャッシュフローを圧迫しません。
- 経費計上が楽:毎月のリース料は全額「経費」として処理できるため、節税効果もあります。
- 動産保険が付いている:万が一、火災や落雷、水害などで機器が破損しても、保険で修理・交換できるケースが多いです。
リースのデメリット
- 総支払額は高くなる:金利や手数料が含まれるため、一括購入よりも総額は割高になります(目安:新品価格の1.2倍程度)。
- 途中解約ができない:原則として、契約期間中に店が閉店しても、残りのリース料を一括で支払う義務があります。
- 審査がある:開業届を出したばかりの個人事業主だと、審査に通らない場合があります(保証人が必要になることが多い)。
リースに向いている機器
- 食器洗浄機:新品なら高額(50万〜100万)ですが、リースなら月々1〜2万円程度。故障リスクが高いため、新品保証があるリースが安心です。
- スチームコンベクションオーブン:非常に高額かつ、最新機能が重要なため、リース導入の定番です。
4. 【裏技3】最強の節約術「居抜き物件」の造作譲渡
もしこれから物件選びをするなら、「厨房機器が残っている居抜き物件」を探すのが、最もコストを抑える方法です。
- 造作譲渡(ぞうさくじょうと):前のテナントから、内装や厨房機器をまとめて買い取る(または無償で譲り受ける)契約。
- メリット:運搬費や設置工事費(給排水・電気工事)が一切かからないため、機器代だけでなく工事費も数百万円単位で浮きます。
- 注意点:必ず契約前に「すべての機器の動作確認」を行いましょう。「譲り受けた冷蔵庫が壊れていた」となると、撤去費用と新品購入費で逆に高くつきます。
5. 失敗しない予算配分のシミュレーション
例えば、厨房機器の予算が「150万円」しかない場合、どう配分すべきでしょうか。
【悪い例】全て新品で揃えようとする
- 冷蔵庫・冷凍庫:新品
- 食洗機:新品
- コンロ・作業台:新品 → 総額 300万円オーバー(予算不足で、重要な食洗機を諦めることになる)
【良い例】ハイブリッド戦略
- 大型冷蔵庫:リース(初期0円、月々1.5万円)
- 食洗機:リース(初期0円、月々1.2万円)
- コンロ・オーブン:中古良品(30万円)
- シンク・作業台:中古(10万円)
- 小物・調理器具:新品(10万円) → 初期費用 50万円(予算内で収まり、残り100万円を運転資金や広告費に回せる!)
このように、高額なものをリースに逃がし、耐久性のあるものを中古で賄うことで、初期費用を抑えつつ、必要なスペックを揃えることができます。
6. まとめ
厨房機器は、料理人の武器ですが、見栄を張って新品を揃える必要はありません。お客様は「新品の冷蔵庫で冷やしたビール」だから喜ぶのではなく、「冷えたビール」であれば満足なのです。
- 板金類(シンク等)は中古で十分
- 高額・故障リスクのある機械はリースか新品
- 居抜き物件の残置物を最大限活用
この3つの視点を持ち、浮いた資金を集客のための販促費や、スタッフの採用コストに回すこと。それが、賢い経営者のスタートダッシュです。


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