飲食店のシフト制アルバイトの有給休暇【2026年版】|付与日数・賃金・年5日義務

飲食店のシフト制アルバイトの有給休暇を管理するシフト表、カレンダー、電卓、クリップボード
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結論からいうと、飲食店のシフト制アルバイトにも年次有給休暇は発生します。毎月の勤務日数が変わることや、シフト作成時まで具体的な出勤日が決まらないことだけを理由に、年休を付与しないことはできません。

店舗が最初に確認すべきなのは、次の4点です。

  1. 雇入れから6か月以上継続勤務し、全労働日の8割以上出勤しているか
  2. 一般の付与表と比例付与表のどちらを使うか
  3. その年に新たに10日以上付与され、年5日取得義務の対象になるか
  4. 取得日の賃金、残日数、管理簿を正しく処理できているか

2026年6月19日、厚生労働省はシフト制労働者の年次有給休暇に関する留意事項を改正し、所定労働日数を算定しにくい場合の付与日数や、取得日の賃金計算を明確にしました。所定労働日数を算出しにくい人については、初回付与では雇入れ後6か月間の労働日数実績を2倍し、2回目以降は前年の労働日数実績を使えると示されています。厚生労働省「いわゆる『シフト制』について」

なお、ここでいう「シフト制」は、労働契約を結ぶ時点では具体的な労働日・労働時間を確定せず、一定期間ごとのシフト表で初めて決める勤務形態を指します。年間や月間の所定労働日数が契約で決まっており、勤務時間帯だけを交替させる勤務形態は、この取扱いとは区別して考えます。

目次

飲食店のシフト制アルバイトにも有給休暇は必要

年次有給休暇は正社員だけの制度ではありません。パート、アルバイト、学生、管理監督者などの呼び方にかかわらず、原則として次の2条件を満たした労働者に発生します。

  • 雇入れの日から6か月間継続して勤務している
  • その期間の全労働日の8割以上を出勤している

6か月未満の有期労働契約を更新し、実質的に雇用関係が継続して通算6か月以上になった場合も対象になり得ます。シフト制や短時間勤務という理由だけで対象外にはできません。厚生労働省「年次有給休暇とはどのような制度ですか」

週30時間以上などの場合は一般の労働者と同じ日数

次のいずれかに該当する場合は、通常の労働者と同じ付与表を使います。

  • 週所定労働時間が30時間以上
  • 週所定労働日数が5日以上
  • 年間所定労働日数が217日以上
継続勤務期間 6か月 1年6か月 2年6か月 3年6か月 4年6か月 5年6か月 6年6か月以上
付与日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

勤務日数が少ない人は比例付与する

週所定労働時間が30時間未満で、かつ、週所定労働日数が4日以下または年間所定労働日数が216日以下の場合は、所定労働日数に応じて比例付与します。

週所定労働日数 年間所定労働日数 6か月 1年6か月 2年6か月 3年6か月 4年6か月 5年6か月 6年6か月以上
4日 169~216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121~168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73~120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48~72日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

例えば、週4日勤務の人は勤続3年6か月で10日、週3日勤務の人は勤続5年6か月で10日が付与されます。その年に新たに10日以上付与されると、後述する年5日取得義務の対象になります。

勤務日数が決まっていないアルバイトの付与日数計算

飲食店で特に迷いやすいのが、「週によって2日勤務にも4日勤務にもなる」「契約時点で週や月の所定労働日数を確定していない」というケースです。

厚生労働省の2026年6月改正留意事項では、所定労働日数を算出しにくい場合、次の日数を基準日時点の年間所定労働日数とみなして、付与日数を算出して差し支えないとしています。

  • 初回付与:雇入れから6か月間の労働日数実績を2倍した日数
  • 2回目以降:前年の労働日数実績

所定労働日数を決めていないことを理由に、年休をゼロにすることは認められません。また、所定労働日数は労使で約束する労働条件であり、店舗側の都合だけで一方的に増減させることもできません。厚生労働省「シフト制労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」

初回付与の計算例

週所定労働時間が30時間未満で、雇入れから6か月間の労働日数実績が82日だったとします。

82日×2=164日

年間121~168日の区分に入るため、6か月時点の法定付与日数は5日です。なお、6か月間の全労働日の8割以上を出勤しているという付与要件は、これとは別に確認します。

6か月間の労働日数実績が110日なら、2倍すると220日です。年間217日以上に相当するため、8割出勤要件を満たしていれば一般の付与表を適用し、初回の付与日数は10日となります。

契約上の目安日数が実績より多い場合

労働条件通知書などに「月15日程度勤務」と定めている場合、年間の目安は180日です。目安日数を使って算出した付与日数が、労働日数実績を使った場合より多くなるときは、目安日数を使っても差し支えないとされています。

例えば、週所定労働時間が30時間未満で、初回付与時に年間180日として扱う場合は、169~216日の区分となり7日を付与します。

採用時に勤務日数の目安を明記することは、年休計算だけでなく、シフト削減を巡るトラブルの予防にも役立ちます。労働条件の明示方法は、飲食店 労働条件通知書 2026年10月改正|パート・アルバイト雇用の対応チェックリストも確認してください。

年5日の有給休暇取得義務で確認すべきこと

その年に新たに10日以上の法定年休を付与される労働者について、使用者は基準日から1年以内に5日を取得させなければなりません。前年度からの繰越分を足して10日以上になるだけの人は対象外です。ただし、対象期間中に繰越分を取得した場合、その取得日は5日に算入できます。厚生労働省「年次有給休暇取得促進特設サイト」

5日を確保する方法は、次の3つです。

  1. 労働者本人が申請して取得する
  2. 労使協定に基づく計画年休として取得する
  3. 使用者が本人の意見を聴いたうえで時季を指定する

計画年休を導入する場合も、労働者が自由に請求できる年休を少なくとも5日残す必要があります。本人がすでに3日取得していれば、店舗が確実に取得させるべき残りは2日です。合計5日に達した後、使用者が年5日義務を理由として追加の時季指定をすることはできません。

半日有給は数えられるが、時間有給は数えられない

取得方法 年5日義務への算入 主な導入条件
1日単位 1日として算入 原則的な取得方法
半日単位 1回0.5日として算入 労働者が希望し、使用者が同意する
時間単位 算入できない 労使協定を締結し、年5日分以内で導入する

時間単位年休を何時間取得していても、年5日取得義務を満たしたことにはなりません。半日単位の取得は、1回につき0.5日として数えられます。厚生労働省「半日単位年休と時間単位年休の取扱い」

違反には罰則がある

年5日の年休を取得させなかった場合は、30万円以下の罰金が科される可能性があります。罰則上は、対象労働者1人につき1罪として取り扱われます。また、使用者による時季指定を行う場合は、対象となる労働者の範囲や指定方法などを就業規則に記載する必要があります。厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」

有給申請をシフト表へ反映する実務手順

飲食店では、シフト希望と年休申請を同じ「休み希望」として集めると、「本人は年休を申請したつもりなのに、店長は単なる休日希望として処理した」という行き違いが起きます。次の手順で管理しましょう。

手順1:採用時に勤務日数とシフト決定ルールを合意する

労働条件通知書、雇用契約書、シフト規程などに、次の項目をできる限り具体的に記載します。

  • 週または月の目安勤務日数・時間数
  • 勤務する可能性がある曜日・時間帯
  • 最低・最大の勤務日数や時間数を定める場合はその内容
  • シフト希望の提出期限
  • シフトの確定日と通知方法
  • 確定後に変更・キャンセルする場合の期限と手続
  • 年休の申請期限、申請方法、連絡先

「勤務時間・休日はすべてシフトによる」とだけ記載するのではなく、休日設定の基本的な考え方やシフト作成ルールを示すことが重要です。

手順2:通常の休み希望と有給申請を区別する

提出フォームには、少なくとも次の3区分を設けます。

  • 勤務可能日
  • 通常の休み希望日
  • 年次有給休暇の取得希望日

確定済みのシフト上の労働日に年休申請があった場合は、単にシフトから削除するのではなく、年休として勤怠と賃金を処理します。厚生労働省も、「シフトを調整して働く日を決めたのだから、その日に年休は使わせない」という取扱いは認められないと示しています。厚生労働省「『シフト制』労働者の雇用管理を適切に行うための留意事項」

シフト確定前に年休の希望が出る場合は、どの日を労働日として扱うか、予定労働時間をどう決めるかを、契約上の勤務日数、通常の勤務パターン、シフト作成ルールに沿って判断します。年休申請日を機械的に休日へ置き換え、取得できない運用にしないことが重要です。

手順3:時季変更が必要か個別に判断する

年休は原則として、労働者が請求した時季に与えなければなりません。請求どおりに与えると事業の正常な運営を妨げる場合には、使用者が別の時季へ変更できることがあります。

ただし、「土曜日だから」「繁忙期だから」「アルバイトだから」という一律の理由だけで拒否するのは不適切です。事業場の規模、業務内容、同じ日の申請人数、代替要員の確保可能性、本人の担当業務などを個別・具体的に検討します。厚生労働省「年次有給休暇はどのような場合に、何日与えなければならないのでしょうか」

ホール、調理、ドリンク、洗い場、開店準備、締め作業など、時間帯ごとの必要配置を一覧化し、申請が重なった日は代替要員や社員の応援を先に検討してください。人員配置の決め方は、人手不足でも回るシフト表の工夫|柔軟性と公平性を両立する運用法も参考になります。

手順4:取得期限の6か月前から未取得者を確認する

法律上の期限直前に5日をまとめて入れると、人員不足や本人の希望との不一致が起きやすくなります。店内ルールとして、次のような確認時期を設定すると管理しやすくなります。

  • 基準日から6か月経過時:取得日数が2日未満の人へ希望日を確認
  • 取得期限の3か月前:5日未達の人と取得予定を確定
  • 取得期限の1か月前:取得実績と勤怠データを最終照合

これは法定の中間期限ではなく、取得漏れを防ぐための運用例です。勤怠システムを使う場合は、勤怠管理を効率化するクラウドツール比較|飲食店・サービス業向け完全ガイドで選定ポイントを確認できます。

シフト制アルバイトの有給賃金を計算する方法

年休を取得した日に支払う賃金は、次のいずれかの方法で計算します。どの方法を使うかは、その都度選ぶのではなく、あらかじめ就業規則などに定めておかなければなりません。

  • 平均賃金
  • 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
  • 健康保険法に規定する標準報酬月額の30分の1相当額

3つ目の方法を選ぶには、労働者代表との書面による労使協定が必要です。厚生労働省「年次有給休暇を取得した日の賃金」

通常の賃金方式を使う場合の計算例

時給1,250円のアルバイトが、所定労働時間6時間の日に年休を取得したと仮定します。

1,250円×6時間=7,500円

この例では7,500円を支払います。日給制の場合は原則としてその日給額です。

年休取得日の所定労働時間は、確定シフトや契約上のルールに基づいて記録します。年休を申請したことを理由に所定労働時間をゼロにしたり、通常より短く設定したりしないよう注意してください。勤怠データ上は「欠勤」ではなく「有給」として登録し、給与計算へ連携します。

年次有給休暇管理簿に記録する項目

使用者は、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成しなければなりません。法定の保存期間は5年間ですが、経過措置により当分の間は3年間です。年休を与えた期間中と、その期間満了後の保存が必要です。

必須項目は、次の3つです。

  • 基準日
  • 年休を取得した日付(時季)
  • 基準日から1年間の取得日数

労働者名簿や賃金台帳と一体化したり、必要なときに出力できるシステムで管理したりすることもできます。厚生労働省「年休取得管理簿を作成・保管する際の留意点」

年休の請求権は原則として付与日から2年で時効になります。新規付与分と繰越分を分け、有効期限を管理してください。

管理項目 記録内容
従業員情報 氏名、雇用区分、入社日、契約更新日
勤務条件 週・月の目安日数、週所定労働時間
基準日 年休が付与された日
算定根拠 契約日数、6か月実績の2倍、前年実績など
付与情報 今回付与日数、繰越日数、有効期限
取得情報 取得日、1日・半日・時間単位の区分
年5日管理 算入済み日数、残り必要日数、取得期限
残高 取得後の年休残日数

申請記録、確定シフト、勤怠記録、給与明細、年次有給休暇管理簿の内容が一致しているか、月次で照合しましょう。

飲食店が避けるべき有給休暇管理のミス

  • 「アルバイトには有給がない」と説明する:雇用区分だけで対象外にはできません。
  • 所定労働日数が未設定だから付与しない:2026年改正留意事項に沿って実績等から算出します。
  • 比例付与の計算で週所定労働時間を確認しない:週30時間以上なら一般の付与表を使います。
  • 有給申請日を無断でシフト外にする:通常の休み希望へ一方的に置き換えないようにします。
  • 繁忙日をすべて申請禁止日にする:時季変更の可否は個別・具体的に判断します。
  • 時間単位年休を年5日義務に算入する:時間単位の取得分は5日から控除できません。
  • 有給日を欠勤処理する:勤怠区分と給与計算の両方を確認します。
  • 付与日だけ記録して取得日を残さない:基準日、取得日、取得日数を管理簿へ記録します。
  • 店長だけが残高を把握する:経営者や本部が月次で確認できる仕組みにします。

よくある質問

週1日勤務の学生アルバイトにも有給休暇はありますか?

あります。雇入れから6か月継続勤務し、全労働日の8割以上を出勤していれば、週1日勤務でも比例付与の対象です。年間所定労働日数が48~72日の区分なら、初回の法定付与日数は1日です。

本人が有給を使わず、普通の休みにしてほしいと言った場合は?

シフト確定前で、労使で定めた手続に沿って通常の休み希望へ変更することは可能です。確定済みの労働日については、シフト変更に本人の同意があるかを確認し、店舗側が年休処理を避けるために一方的に休日へ変更してはいけません。

その年に10日以上の年休が付与される人については、本人が希望日に年休を使わなかった場合でも、別途、基準日から1年以内に合計5日を取得させる必要があります。

有給休暇の取得理由を聞いてもよいですか?

年休は原則として利用目的を問わず取得できる制度です。理由の説明を取得条件にする運用は避けてください。時季変更権の判断に必要な特別な事情がある場合でも、必要な範囲を超えて私的な事情の説明を求めないようにします。

退職前にまとめて申請された場合、拒否できますか?

退職前であることだけを理由に拒否することはできません。時季変更権は別の取得日を指定する権利であるため、退職日までに取得できる別の日がなければ、行使は困難になります。引継ぎを依頼する場合も、年休の取得日数と退職日を早めに確認してください。

従業員が10人未満なら管理しなくてもよいですか?

いいえ。就業規則の作成・届出義務は、常時10人以上の労働者を使用する事業場が対象です。一方、年休の付与、年5日取得義務、年次有給休暇管理簿の作成義務は、10人未満の店舗にも適用されます。

まとめ

飲食店のシフト制アルバイトについて、毎月の勤務日や勤務日数が変わることだけを理由に年休を付与しない運用はできません。2026年6月19日の厚生労働省留意事項改正により、所定労働日数を算定しにくい場合は、初回付与で6か月間の労働日数実績を2倍し、2回目以降は前年実績を使えることが明確になりました。

まずは全従業員について、入社日、基準日、週所定労働時間、勤務日数、8割出勤要件、法定付与日数を確認してください。そのうえで、通常の休み希望と年休申請を分け、確定シフト、勤怠記録、給与計算、年次有給休暇管理簿を連動させます。

特に重要なのは、「契約上の勤務日数」「6か月実績の2倍」「前年の労働日数実績」のどれを使ったかを記録することです。年5日取得義務の期限も併せて管理し、付与漏れ、賃金の未払い、シフト調整を巡るトラブルを防ぎましょう。

参考資料

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