飲食店 最低賃金 2026年版|都道府県別一覧・研修時給・月給換算・固定残業代

給与台帳と電卓を使って2026年の最低賃金を確認する飲食店のバックオフィス
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結論からいうと、2026年の最低賃金対応では、時給制アルバイトだけでなく、月給制社員、研修中の新人、固定残業代を含む店長候補まで確認が必要です。店舗が所在する都道府県の最低賃金と発効日を調べ、通勤手当など算入できない賃金を除外して、1時間当たりの金額へ換算します。

飲食店で特に多い誤りは、「研修中なら最低賃金未満でもよい」「交通費や皆勤手当を足せば最低賃金を超える」「固定残業代を含む月給総額で判定する」という処理です。いずれも原則として正しくありません。

最低賃金未満の賃金に労使で合意しても、その部分は無効となり、最低賃金額と同額の定めをしたものと扱われます。差額の支払いが必要になり、地域別最低賃金違反には50万円以下の罰金が定められています。出典:厚生労働省「最低賃金制度とは」

本記事は2026年10月27日時点の厚生労働省公表資料を基にしています。発効日前の地域では改定前の金額が適用されるため、給与計算時には必ず最新の公式一覧を確認してください。

目次

飲食店が最初に確認する5項目

  1. 店舗所在地:本社所在地ではなく、原則として店舗という事業場が所在する都道府県を確認する
  2. 発効日:給与締切日ではなく、新しい最低賃金の発効日から単価を切り替える
  3. 対象者:アルバイトだけでなく、社員、学生、外国人、試用・研修期間中の人も確認する
  4. 対象賃金:通勤手当、精皆勤手当、家族手当、割増賃金などを除外する
  5. 時間額換算:日給・月給を1時間当たりの金額に直して比較する

地域別最低賃金は、都道府県内の事業場で働く労働者と使用者に適用されます。複数県に店舗がある会社は、全店共通の賃金テーブルだけでなく、店舗ごとの適用額を確認してください。一時的な他県店舗への応援勤務など、適用する事業場の判断が難しいケースは管轄労働局へ確認しましょう。出典:厚生労働省「賃金(賃金引上げ、労働生産性向上)」

2026年度の都道府県別最低賃金と発効日

2026年度の地域別最低賃金は都道府県ごとに発効日が異なります。発効日前日までは改定前額、発効日以降に提供された労働には改定後の金額が適用されます。

2026年度地域別最低賃金一覧(2026年10月27日時点)
都道府県 10月27日時点の適用額 2026年度改定額 発効日
北海道・東北
北海道 1,131円 1,131円 10月1日
青森 1,029円 1,090円 10月29日
岩手 1,031円 1,090円 12月1日
宮城 1,098円 1,098円 10月1日
秋田 1,090円 1,090円 10月14日
山形 1,032円 1,092円 10月30日
福島 1,094円 1,094円 10月16日
関東
茨城 1,136円 1,136円 10月18日
栃木 1,125円 1,125円 10月1日
群馬 1,120円 1,120円 10月3日
埼玉 1,196円 1,196円 10月1日
千葉 1,195円 1,195円 10月1日
東京 1,280円 1,280円 10月1日
神奈川 1,279円 1,279円 10月1日
中部
新潟 1,108円 1,108円 10月1日
富山 1,119円 1,119円 10月1日
石川 1,113円 1,113円 10月3日
福井 1,112円 1,112円 10月4日
山梨 1,052円 1,113円 11月1日
長野 1,117円 1,117円 10月2日
岐阜 1,121円 1,121円 10月1日
静岡 1,154円 1,154円 10月15日
愛知 1,195円 1,195円 10月1日
三重 1,143円 1,143円 10月1日
近畿
滋賀 1,136円 1,136円 10月3日
京都 1,122円 1,180円 11月16日
大阪 1,231円 1,231円 10月1日
兵庫 1,172円 1,172円 10月1日
奈良 1,107円 1,107円 10月4日
和歌山 1,101円 1,101円 10月3日
中国・四国
鳥取 1,090円 1,090円 10月3日
島根 1,092円 1,092円 10月10日
岡山 1,104円 1,104円 10月2日
広島 1,141円 1,141円 10月11日
山口 1,101円 1,101円 10月8日
徳島 1,046円 1,103円 11月1日
香川 1,092円 1,092円 10月1日
愛媛 1,033円 1,093円 11月1日
高知 1,023円 1,086円 10月29日
九州・沖縄
福岡 1,114円 1,114円 10月4日
佐賀 1,030円 1,095円 11月15日
長崎 1,031円 1,087円 11月2日
熊本 1,034円 1,092円 12月1日
大分 1,035円 1,096円 11月1日
宮崎 1,085円 1,085円 10月24日
鹿児島 1,090円 1,090円 10月25日
沖縄 1,023円 1,086円 12月2日

出典:厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」、「令和8年度 地域別最低賃金 全国一覧」

上表は地域別最低賃金です。特定の地域・産業には「特定最低賃金」もあり、地域別最低賃金と両方が適用される場合は高い方を使用します。一般的な飲食店は地域別最低賃金から確認しますが、食品製造が中心のセントラルキッチンや複合事業場は、所在地を管轄する労働局へ適用関係を確認してください。出典:厚生労働省「特定最低賃金について」

最低賃金が適用される従業員

地域別最低賃金は、雇用形態や呼び方にかかわらず、原則として事業場で働くすべての労働者に適用されます。

  • 正社員・契約社員
  • パート・アルバイト
  • 高校生・大学生
  • 外国人スタッフ
  • 試用期間・研修期間中の新人
  • 日給制・月給制・出来高払制の従業員

日給制や月給制でも対象外にはなりません。最低賃金の対象となる賃金を時間額へ換算して比較します。出典:厚生労働省「最低賃金は、月給制や日給制など時給制以外の従業員にも適用されるのでしょうか?」

研修時給を最低賃金未満にするのは原則不可

「最初の100時間は研修時給」「仕事を覚えるまでは時給を下げる」という店内ルールだけでは、最低賃金を下回れません。

試用期間中の労働者について最低賃金を減額するには、使用者が個別に申請し、都道府県労働局長の許可を受ける必要があります。単に未経験者・新人・研修中であるという理由だけで自動的に認められる制度ではありません。出典:厚生労働省「最低賃金の減額の特例許可申請書様式・記入要領」

高校生にも地域別最低賃金は適用されます。18歳未満の深夜勤務などのルールは、飲食店 高校生アルバイト 雇用ルール【2026年版】で確認してください。

最低賃金の計算に含める賃金・含めない賃金

最低賃金との比較対象になるのは、毎月支払われる基本的な賃金です。給与明細の総支給額をそのまま所定労働時間で割ると、誤判定する可能性があります。

区分 主な例 最低賃金への算入
基本的な賃金 基本給、職務手当、役職手当、毎月定額の住宅手当など 原則として算入
臨時に支払われる賃金 結婚手当、見舞金など 算入しない
1か月を超える期間ごとの賃金 賞与など 算入しない
時間外・休日・深夜労働に対する賃金 残業手当、休日手当、深夜割増部分など 算入しない
法令上除外される手当 精皆勤手当、通勤手当、家族手当 算入しない
固定残業代 時間外・休日・深夜労働の対価として明確に区分された部分 算入しない

手当は名称だけでなく、支給目的と実態で判断します。基本給を低く設定し、固定残業代を加えた総額だけで最低賃金を超えていても、最低賃金の判定に固定残業代を使うことはできません。出典:厚生労働省「最低賃金制度 よくあるご質問」

まかない代を給与から引く場合

まかない代の給与天引きは、最低賃金の判定とは別に、労働基準法の賃金全額払いの原則を確認します。税金や社会保険料以外の食事代を控除するには、原則として労働者の過半数で組織する労働組合、または過半数代表者との書面による賃金控除協定が必要です。協定があっても、控除できるのは内容と金額が明確なものに限られます。出典:相模原労働基準監督署「賃金控除に関する労使協定を締結していますか?」

所得税、社会保険、給与天引きの扱いは、飲食店 まかない代の税務【2026年改正】も参照してください。

時給・日給・月給・固定残業代の計算方法

時給制

契約時給 ≧ 適用される最低賃金

東京都内の店舗で、2026年10月1日以降も時給1,250円のままなら、東京都最低賃金1,280円を30円下回ります。本人が同意していても、差額の支払いが必要です。

日給制

最低賃金の対象となる日給 ÷ 1日の平均所定労働時間 ≧ 最低賃金

日給から通勤手当や割増賃金などを除外して計算します。休憩時間は所定労働時間に含めませんが、休憩中にも接客や電話対応を指示している場合は、労働時間となる可能性があります。

月給制

最低賃金の対象となる月給額 ÷ 1か月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金

年間の所定労働時間が分かる場合は、次の式でも確認できます。

最低賃金の対象となる月給額 × 12か月 ÷ 年間総所定労働時間 ≧ 最低賃金

神奈川労働局の2026年の計算例では、月給25万円から精皆勤手当、家族手当、通勤手当を除くと、最低賃金の対象となる月給は21万5,000円です。年間総所定労働時間が2,040時間の場合、時間額は約1,264.70円となり、神奈川県最低賃金1,279円を下回ります。出典:神奈川労働局「最低賃金の計算例」

固定残業代を含む月給

月給総額26万円のうち、固定残業代が4万円、年間総所定労働時間が2,080時間のケースを考えます。最低賃金の判定に使うのは、固定残業代を除いた22万円です。

22万円 × 12か月 ÷ 2,080時間 = 約1,269.23円

東京都の店舗では、2026年10月1日以降の最低賃金1,280円を下回ります。月給総額が26万円でも、最低賃金を満たすとは限りません。

固定残業代については、最低賃金の確認とは別に、対象となる時間数・金額・計算方法の明示、実際の割増賃金との差額支払いも点検してください。

深夜勤務

午後10時から翌午前5時までの労働には、通常の賃金に25%以上の深夜割増を加えます。東京都で通常時給を最低賃金と同額の1,280円に設定している場合、法定時間外労働や休日労働と重ならない深夜時間帯でも、1時間当たり1,600円以上の支払いが必要です。

時間外・休日・深夜労働が重なる場合は、飲食店 割増賃金計算【2026年版】で確認してください。

飲食店で起こりやすい最低賃金対応のミス

  • 翌月の給与期間から新時給にする:給与期間の途中でも、発効日以降の労働には新しい最低賃金が適用されます。
  • 研修時給を一律に低くする:減額特例許可がなければ、試用・研修期間にも通常の最低賃金が適用されます。
  • 交通費込みで判定する:通勤手当は最低賃金の対象となる賃金に含めません。
  • 月給総額で判定する:固定残業代、精皆勤手当、家族手当などを除外して再計算します。
  • 高校生や外国人を対象外と考える:年齢や国籍だけを理由に地域別最低賃金の対象外にはできません。
  • 全店舗で同じ最低時給を使う:都道府県をまたぐ企業では、事業場ごとに適用額が異なります。
  • 一度計算した月給換算額を使い続ける:年間休日や所定労働時間、手当構成の変更でも時間額は変わります。

発効日が賃金計算期間の途中にある場合でも、発効日以降は改定後の最低賃金以上を支払う必要があります。出典:厚生労働省「最低賃金制度 よくあるご質問」

最低賃金改定を給与へ反映する7つの手順

手順1.従業員を事業場別に並べる

本部で一括管理している会社も、実際に勤務する店舗という事業場ごとに従業員を整理します。都道府県をまたぐ応援勤務や異動がある場合は、勤務実態と所属事業場を確認してください。

手順2.最低賃金の対象となる賃金を抽出する

基本給と各手当を分け、通勤手当、精皆勤手当、家族手当、割増賃金、賞与、固定残業代の該当部分を判定対象から除外します。「調整手当」など名称だけで判断できない手当は、就業規則や雇用契約上の支給目的まで確認します。

手順3.所定労働時間を確定する

月給者について、年間休日、1日の所定労働時間、勤務カレンダーを確認します。1年単位や1か月単位の変形労働時間制を導入している場合も、適法な勤務カレンダーと所定労働時間を基に計算してください。

手順4.賃金額と社内バランスを決める

最低賃金を下回る従業員は、遅くとも発効日以降の労働から賃金を引き上げます。最低層だけを引き上げると、教育担当者や時間帯責任者との賃金差が小さくなることがあるため、役割手当や昇給幅も確認しましょう。

手順5.書類・求人・システムを更新する

  • 労働条件通知書、雇用契約書、賃金変更の合意書
  • 就業規則、賃金規程
  • 給与計算ソフト、勤怠システム
  • 求人票、採用サイト、店頭求人ポスター
  • シフト作成時の人件費単価

賃金変更時の書面整備は、飲食店 労働条件通知書 2026年10月改正も確認してください。

手順6.発効日前後を分けて給与計算する

給与期間の途中で最低賃金が変わる場合は、勤務日ごとに旧単価と新単価を分けて集計します。差額が判明した場合は速やかに支払い、対象者、対象時間、追加支給額、支払日を記録してください。

勤怠記録と賃金台帳の整備方法は、飲食店 法定三帳簿【2026年版】を参照してください。

手順7.事業場内で最低賃金を周知する

使用者は、最低賃金が適用される労働者の範囲、最低賃金額、算入しない賃金、効力発生日を、常時作業場の見やすい場所への掲示などにより周知する必要があります。バックヤードの掲示板や、従業員が常時確認できる社内システムなどを利用してください。出典:厚生労働省「その他(最低賃金の周知義務)」

賃上げに使える支援制度

業務改善助成金は、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げ、生産性向上につながる設備投資などを行う中小企業・小規模事業者を支援する制度です。

2026年度の申請期間は、原則として2026年9月1日から「申請事業場に適用される地域別最低賃金の発効日前日」または2026年11月30日のいずれか早い日までです。

2026年10月27日時点では、発効済みの都道府県の多くで申請期限を過ぎています。今後発効日を迎える地域も期限が迫っているため、利用を検討する場合は管轄労働局の受付状況と要件を直ちに確認してください。申請前に実施した賃上げや設備投資は対象外となる場合があるため、実施順序にも注意が必要です。出典:厚生労働省「業務改善助成金」

飲食店の最低賃金に関するFAQ

Q.本人が同意すれば最低賃金より低くできますか?

A.できません。最低賃金未満の合意は、その部分が無効となり、最低賃金と同額の契約をしたものと扱われます。

Q.仕事を覚えるまでの研修期間も同じですか?

A.原則として同じです。最低賃金未満にするには、減額特例許可の要件を満たし、都道府県労働局長の許可を受ける必要があります。

Q.月給が高ければ確認しなくてもよいですか?

A.確認が必要です。固定残業代、通勤手当、精皆勤手当、家族手当などを除外し、1か月平均所定労働時間で割ると最低賃金を下回る場合があります。

Q.全国加重平均額を超えていれば問題ありませんか?

A.全国加重平均額は統計上の参考値であり、個別店舗の適用基準ではありません。店舗という事業場が所在する都道府県の地域別最低賃金、または適用される特定最低賃金と比較します。

Q.改定前の時給で作ったシフトはそのまま使えますか?

A.シフトを作成した日ではなく、実際に働いた日で判定します。発効日以降の勤務には、新しい最低賃金以上の時給を適用してください。

Q.最低賃金と同額に設定すれば、深夜も同額でよいですか?

A.いいえ。午後10時から翌午前5時までの労働には、通常の賃金に25%以上の深夜割増が必要です。時間外労働や法定休日労働と重なる場合は、該当する割増率を合算します。

まとめ

飲食店の最低賃金対応では、時給表だけでなく、月給者、固定残業代、研修時給、各種手当、深夜割増まで一体で確認する必要があります。2026年度は都道府県によって発効日が異なるため、給与締切日ではなく、各地域の発効日を基準に切り替えてください。

まずは事業場別・従業員別の一覧を作り、算入できない賃金を除外して時間額へ換算します。そのうえで、給与システム、雇用書類、求人票、最低賃金の掲示を同時に更新することが、差額未払いを防ぐ実務上の基本です。

参考資料

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